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円堂くんの悪気のない発言にどう返事しようか迷う
したい…けど、出来なかったらさそれはそれで残念だし。


「円堂くん、体あまり無理できないの」
『え、そうなのか?』


円堂君の目の輝きが消える
…私、何か罪悪感がする
体は確かにあまり無理は出来ないけど…やっぱりサッカーがしたい。
もう一度、シュートを入れたい。


『シュートだけなら、大丈夫…だよ』
「本当か!?」
『でも、制服が……』
「私の予備のジャージ、貸してあげようか?ズボンしかないけど…」
『わ、良いの?じゃあ貸してもらいます!』
「やった!じゃ着替えたら来てくれな!!」


秋ちゃんに案内されて女子更衣室へ行く
ズボンだけなので上は制服でスカートの中に
ズボンを履くことに。
少しはしたないけど…まあ良いよね、仕方ないもの
秋ちゃんにお礼を言い急いで小走りする、私
円堂くんの居るゴールに行くとボールを渡される


「いつでもいいぞー!」


円堂くんはそう言うとボールを受け止める体勢になる。
雰囲気が、空気が、変わった感じが漂う。
深呼吸をして、持っていたボールを地面に置く。
授業でした時の感覚を頭で浮かべて、足の平で軽くボールを上げた。
瞬時に自分もボールと足の高さが合うように地面を踏み込む。
バンッと何かがぶつかり合った音が鳴る

今度は着地にも気をつけたために上手く地面に足を着けた。
シュートを入れる時は夢中だったため
入ったか確認しようと前を向く。


「月子……」


私のシュートは入っていた。
ホッと息を吐く
そして何故か円堂くんがゴールからもの凄い速さで走ってきたと思ったら
私の手を握り締めた


「すっげーな月子!」


私はまたへ?と言ってしまう
…何か練習してたサッカー部の人達も集まって来たなり私に色々感想を伝えてくれた。
上手いとか、凄いとか、分かんない。昔、楽しく笑えてサッカー出来たらそれで十分だと心では思ってたから。

晴矢と風介にも驚かれていたけれど、そんな事ないと思うんだ。
私はサッカーをしてないもの。
サッカーボールを蹴ってシュートを入れた、それでサッカーをしたっていうのだとしたら、何だか可笑しいと感じるから。
けど、この一本のシュートは私を震えさせた。
もっと、サッカーがしたい。
まだ、足りない。




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