携帯が震えた、それは彼女からの電話で。俺は無意識のまま通話ボタンを押す、もしもしとお決まりの言葉を言っても電話は無言、息をしていないかのような呼吸は浅い。


『…寝れないの』


か細い声が耳に伝わった、電話からも部屋のドア越しからも。


「おいで」


俺はそれだけ言って電話を切ればゆっくりと自室の扉が開いた、枕を抱えて右手に携帯を持ってる彼女が立ってて、ぽんぽんとベッドの隣を叩けばまたゆっくり、彼女は布団に潜り込んでもぞもぞと寝相を整えれば俺の寝間着の裾をぎゅっと手のひらで掴んだ、愛しいと思えた、だから自分の胸まで彼女を寄せて抱き締めればじわりと温かい水滴が染みて伝わる。


『そばにいてよひとりにしないで』

「うん」

『きみだけは、マークだけはそばに居てくれるって信じてるのよ』

「俺だけ?」

『マークだけ。』


嬉しかったから、頭を撫でてみた。彼女はくすぐったそうに笑う、綻ぶ。心が温かくなるこの気持ちに恋愛感情はないと思ってる。


『私にはマークが必要なの』

「ありがとう」


怖い夢でも見たんだろう、そっとおやすみと耳元で呟きしばらくすれば彼女の静かな呼吸音が響いてなんだか俺までもがくすぐったくなった。


甘酸っぱい長い長い
夢の中での出来事。















***

依存体質。


100301





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