私のお母さんと、マークのお母さんが仲が良かった。ただそれだけの事で私達2人は気が付いたら会っていて気が付いたらお話をして気が付いたら一緒にいたのだ、本当にただそれだけのこと。
小さい頃から体の病弱な私は学校を良く休むし、昼休みは大きな青空の下で広がるグラウンドで精一杯駆け回って遊ぶクラスメートを眺めていたためか私はあまり馴染めなかったのを覚えてる、だけど隣にはいつもマークが居た。マークは朝、必ず隣の私の家まで来るなり体は大丈夫か、と尋ね大丈夫な日は一緒に登校してくれていた、毎日毎日迎えに来るものだからもう来なくていいよ、と言えば彼は私のお母さんから頼まれているんだと教える。全く迷惑な頼みをしたものだ、マークは明るくて人気者、すごく真面目なんだけれど人一倍気が利けたそんな世にいう出来た人。いつもマークの周りには輪が出来ていたし、私はただの幼なじみなだけだ、仲良くする必要も義務付けられている訳でもない、だから私なんてほかっておけばいいのになんて思ってたがそうはいかない彼の良いところで悪いところ。
真面目なのは少しだけ私から見れば汚点にしか映らない。この時から私は何だか寂しくて辛かった、お日様みたいなマークと空気みたいな私の存在はかけ離れているだなんて痛いほど知っていたから、
9年間に渡り義務教育を終え、近所の高校に入学したもののマークの朝のお迎えは続いていた、ぴんぽーん、ぴんぽーん。
好意で迎えに来てる訳じゃない、これはもう一種のマークの無駄に有り余る責任感のせいだろうか。私は鞄を持ってローファーを履くと玄関を開けると今じゃすっかり大人びて首をかなり上に傾げないと顔が見えないマークの背丈は嫌みな程高くなっていて、負けた気分だ、昔は同じぐらいだったのにな
「体は大丈夫なのか?」
『うん、平気』
「昨日発熱したのに今日治るなんてお前の体じゃありえないだろ」
流石長年の幼なじみ、私の全てを知っているみたいで何だか女の子として恥ずかしい。ぴたりと私の額に触れたマークの手のひらはとっても冷たく感じた
「今日は休めよ」
『嫌、』
「嫌って言っても倒れたらどうするんだ」
まるで親かのように私を叱る彼は気に食わない、そしてお説教が始まって、いつもは結局、マークの言うことに従う私なのだけれどそうはいかない、私だって学生で、ただでさえ勉強についていけなくなっているのに発熱ごときに休む訳にはいかない、それにこのままこんな事で休んでいたら単位が取れない、つまり進学出来なくなるのだ。そんなのは嫌すぎる、地面をジッと見つめるように下を向けばマークは溜め息混じりに口を開いた。
「熱、何度だ」
『37.6度』
「……辛くなったら言え、分かった?」
『うん…!』
軽く命令口調なのはやっぱり気に食わないけど彼は責務のために私を気に掛けてくれている訳だ、何だか複雑とは思う、だけれどもこの彼の責務を解す勇気も私にはなくて、甘えているだけなんだと思い知らされた。
***
マークと幼なじみ
100922