朝起きて、学校のために顔を洗ってわざわざ着替えて髪に付いた寝癖をドライヤーと少量の水で直す、ああまた頭に過ぎるんだ。何のために学校に行くのだろうって、みんなは未来のためとか、勉強のためだとか言うけれどさ私は思うよ、頭が良い人だけが幸せになれる訳じゃないってね。たくさんたくさん勉強したら、必ず楽しくて愉快な生活が待ってるだとかの保証なんて誰も付けてくれないんだ。まあこれはある意味自分は自分で幸せを掴めってことかな。
じゃあ何で中学生は義務教育なんですかー。最低限の知識を手に入れるためでーす。最低限の知識を手に入れると何になるんですかー。世界が安定しまーす。私は世界のために左右されたくありませーん。
もうこれはいっそ思春期のせいにしようかな、先生には精神科を進められた。なにそれ酷いよね、私は不思考だとでもいうの?
屋上で焼きそばパンを頬張る、隣にいつも居てくれるのは一之瀬一哉。彼は黙って私の愚痴を聞いてくれる、ああ楽。
『もう私は勉強したくないよ』
「なんで?そんなに勉強できない訳じゃないじゃないか」
『私は必要不可欠なモノは詰め込みたくないのよ』
焼きそばパンの最後の一口は一之瀬にあげた、もぐもぐって可愛いらしい音が聞こえて、ごくん。喉が動いた。時間は秋の季節なのに風はまだ生暖かい。
「仕方ないじゃないか」
一之瀬は寂しげに呟いた。
「これが世界なんだから、さ」
ああやっぱり私が世界を受け止めるまでには時間が掛かりそうな気がする、否、一生できないのかしら。
***
中学生時代はこんなことばっかり考えてました。
100910