ひとつめのさよならは、孤独からの解放。彼女と出会って、彼女に恋して、彼女と恋して。たくさんのものをもらった、物もモノも全て彼女から伝わって私は知ったんだ。愛しくて仕方がなかった、きっと私は彼女に依存していたんだと思う、好きを越えた愛しさが分かった、今まで馬鹿馬鹿しいだなんて思っていたのに
でも気付いた、彼女は私だけを愛していないことに
別れを告げようと思う
ふたつめのさよならは、彼女の削除。私だけの彼女じゃないのなら消えてしまえばいい、ばしん、彼女の頬を叩いた。その時の彼女の表情は傑作だろう。私はそのままポケットから刃物を取り出し、彼女を力の限りに何回も刺した。血が吹き出し私の体に付着する、必死に抵抗していた彼女もそのうちに動かなくなった、もう息はない
醒めたように目を見開いた、痛々しかった。ぱしん、彼女にしたように自分の頬を叩く
手のひらには彼女の血がついていた
さんかいめのさよならは、彼女とのお別れ。ほら涙が頬に伝ってる、すくった彼女の涙は冷たい抱き締めてもキスしても動きやしない。ああ私は何をしたんだ、何をしてしまっていたんだ、いなくなってから分かる存在ってこのことなんだろうか、私の心にぽっかりと隙間がまた再起したようだ、苦しい、痛い。しかし彼女はもっと痛くて苦しくて悲しい思いをしていたのだろうか、ブブブ、彼女の携帯のバイブレーダーが響く
"風介が好きなの、でも私はもうすぐ殺されるんだろうかな、でもそれは幸せなのかもしれない、愛してる人に殺されて生涯を終えれるって事は"
涙が一滴落ちた
初めて泣いた気がする
ナイフを自分に向けた
さよなら、さよなら。
お別れマエストロ
***
マエストロって誰だっけ
100629