真正面に居るのは真っ白な私の恋人、吹雪士郎。ジーと私を見るなりいきなり彼は口を開いた。
「…ねぇ、融和って知ってる?」
『1つになることよね?』
「僕、君と融和したいな」
『は?』
何を言い出すんだコイツは。
いつもそうだいつもこうやって私をからかっているのかそれとも反応を楽しんでいるのか分からないけれどたまにこう思う、コイツは本当に私の恋人なのかと。ルックスは申し分ないくらいかっこいい、それは本当に文句はないし、中身だって優しいし、周りには友好的だし。だから最初告白された時は驚いた以外なにも無い訳で、私なんかでいいのかなとか士郎くん、本当は残念な頭なのかな…とか(これは失礼)思ったのも束の間。正直、吹雪士郎はただのへんた…じゃなくて変わり者だ。今現在だって何を言っているんだコイツは。
『んとね吹雪くん、私たちは人間だよ?1つにはなれないよ?』
「なれるよ!」
『………一応聞くね、どうやってかな?』
融和の使い方は確かに間違って…ないとは思うけれど、人間が1つになるとかじゃなくて気持ちが1つになる=気持ちが融和する、とかに使うのではないんだっけ?聞きたくないがここで聞かないとお話が続かない。真正面の吹雪くんはにっこりと悪…天使の笑みを。
「僕の体と……」
ゆっくり吹雪くんは立ち上がり私の腰に触れる、ぞわわと何かが走る感覚。
「君の体をね…」
吹雪くんの体と私の体がぴったりと密着して吹雪くんの顔が私の肩に置かれていてフッと息を吹きかけられてビクンと跳ねる私の体顔が肩から離れると至近距離で見つめてくる瞳に動けない、動かない。
「くっつければ1つになるよ」
妖艶な笑みからニッコリとした笑みをして地面の影を指差す吹雪くん、私の影と吹雪くんの影がくっついて混じりあってひとつ。
「彼女、顔真っ赤」
そういって私の頬に1つ口付けをされた
影で融けて融和する
***
一億と二千年前から
愛してる
100517