「ほら、」

『う…ゃ、だ』

「約束でしょ?」


一之瀬が今にも唇がくっつきそうなくらいに至近距離で迫ってくる。後ろには壁、このままじゃ教室で、皆が居るなかキスさせられる事になるに決まってるし、遠慮なく深くキスされるであろう。只でさえこんなにくっつくのは恥ずかしい

で、何故こんなにも責められているのかというと私が先日テストで一之瀬に敗られ1週間お弁当を作る罰になるはめになり、今日のこと寝坊し作るのを忘れたのだ。

そして、今この状態。
あぁ、何でだ馬鹿私。
一之瀬はニコニコと爽やかに笑いながら唇をくっ付けようとするが私は一之瀬の頬を両手で押さえる。抵抗し続けたためそろそろ腕が痛くて堪らないのだが、ここで手を離したら間違いなく公開プレイは嫌、嫌すぎる。


「だって俺のお昼ないから君を食べるしかないじゃん?」

『何でそうなるの…私のあげるから!』

「それじゃあ君ががお腹いっぱいにならないでしょ?」

『一之瀬もならないでしょ?』

「俺は君の唇でいっぱいになるから」

『嘘だっ!!』

「違うアニメネタ出てるよ?」


いや、ほんと、腕が……痺れてきた。ちょ、腰に両手回すのはやめれ、本気で逃げられなくなってしまった。


『いっ、一之瀬は…レディーファーストよね?』

「当然だよ、アメリカの風流だからね」

『じゃあ、さっ…私から先よね?』

「君から?」

『私から!!』


一之瀬の力が弱くなる
普段私からなんて有り得ない言葉のお陰だろうか
もちろんするわけない
逃げるための口実。


「ほんと?」

『もちろん、だから腰の腕放して?』

「なんで?」

『………キスしにくいから?』

「逆にしやすいよね?」

『………………』


ニコニコと爽やかに答えられて何も言えなくなる


「はい、してよキス」


一之瀬が目を閉じる
長い睫毛が綺麗な顔をさらに整え、見とれてしまう

直視出来なくて下を俯く
私からだなんて出来ない

「…まだ?」

『……一之瀬から食べて下さい』

「ふふ、了解しました」


気付いたら誰も居ない教室にやさしく唇が重なった





(もう、いいや)




















***

一之瀬は書いてて楽しいです^^




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