「!?私のアイスは」
お風呂から上がって、真っ先に向かった冷蔵庫
それを豪快にあけて手に取ろうと思っていたソレが無かった時の衝撃は大きい

置いたところを間違えたかと思って、あちこち開けて調べてみるが
その爽やかな風貌のパッケージはどこにも見当たらない
少し焦りはしたが、なぜなくなったかの予想はすぐについた

「アル!!!お前また!!」


「え?あぁ!また勝手に上がらせてもらったよ!」


「なめてんのか、なんでいつも勝手に上がってくるのよ!!」


「だって空いてたから、いいじゃないか!君との仲だし!!」

予想がつくも何も、犯人はこいつしか頭に浮かばなかったし
確信しかなかった自分が悔しい
その爽やかな風貌のパッケージがそいつの手の中にあることが苛立たしいし
しかもソレ尚にこやかに爽やかに笑ってくるこいつが憎たらしい


「ダメだから!しかもそれ私のアイス!」


「えー?だってあったから」


「なんで人の家の物勝手に食べるのよ!!勝手に上がっておいて!!」
そういっても、おどけたように笑う
そんな彼の姿にもう突っ込む気も怒鳴る気も失せてきて

はぁと静かにため息を吐くと、そういう私に何を気遣ったのか

「君も食べたかったのかい?」
と静かに言って、カップの中に残っていたアイス一口分を差し出してきた
一瞬食べようと思ったけれど、さすがに食べかけはなと思い受け取ろうとした手を止めると
躊躇いなく、彼はそれを自分の口に放り込む
美味しそうだなーと思ってゴクリと息を呑みかけたとき

グイッ


「ふっ」

口に入り込んだ何かによって伝わる
甘く冷たい風味

それはいつのまにか溶けて
暖かな人の温もりになって私の脳細胞を溶かしていった


本当に、こいつにだけは勝てる気がしない。






そのい口溶けが
(アイスの記憶)(怒りさえけてしまいそうだ.)


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