「はぁ…」
秋も深まり、枯れ葉が目立ってきた頃。
いつも、なんだか寂しくなって、人が恋しくなって。
出会いの季節でもないのに人肌を探し求めてしまって。
いい加減いい年だし恋人を探さなくては。
白馬の王子様なんている訳じゃないのに、いつまでも待ってばかり。
それなのに愛されたいと願って。
「hei!ガール」
「はい」
もうガールって年じゃないけど…
「…罰ゲームやってるんだ、ちょっと手伝ってくれないか?」
話しかけて来たのは、大体20前後の若い男。眼鏡が印象的な好青年だ。
「なにを」
「俺の彼女を連れて来いっていわれたんだけど…」
「本当はいないのに見栄を張ったので、そこら辺の女に頼もう…と?」
ナンパか…
「それだよ!」
「ごめんなさい、ナンパならお断りよ、もっといるでしょう他の女なら」
ついて行って犯されたらたまったもんじゃない。
「ち、違うよ!本当に…」
「まだ何かあるの?」
「う…、あぁ…」
「じゃぁ」
「待って!じゃぁ言うよ!」
そういきなり何か改まったように行こうとした私に叫んだ。
「?」
「確かに罰ゲームに変わりはないんだけど…」
「はぁ…」
「一目惚れなんだ…俺の」
おかしいな、今秋なはずなのに
「だから俺と」
嘘
「付き合って下さい」
知って数秒しかたってないのに、春でもないのに
シンデレラシンドローム
(それが事実にしか感じられなかった)(これが王子様のお迎えというのだろうか)
それを事実と認められるようになるのは
そう遠くない話。
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