秀吉の子飼いたち。子どもの頃からずっと一緒の彼らだが、その仲は良く、且つ悪い。
今日も今日とて、三成と正則は不毛な口論を続けていた。正則の保護者の清正は西国に出ており、いまはいない。
ストッパーがおらずヒートアップする2人を、少し離れたところから見る者が2人。玲莉と左近である。
「あの2人って見てて楽しいよね」
「ははっ。玲莉姫の手にかかりゃ、殿達も遊び道具ですか」
「道具って…だいたい左近さんだって遊んでるじゃないですか」
「まあ、楽しいですし? それにあれは殿の一種の息抜きですから」
「余計に苛立ってるときもあるけど?」
「それはそれでいいじゃないですか。仕事漬けよりはマシってもんです」
「…まあ、それはそうかも」
三成は無理をしすぎる。誰かが休息をさせなければ、倒れてでも仕事を続けていそうなほどだ。ワーカーホリックとは三成のことを指すに違いない。
「あれは秀吉様からいただいた南蛮菓子だったのだよ!」
「知らねぇよ!つか、食われたくねぇなら隠してりゃあいいじゃねぇか!これ見よがしに部屋の真ん中に置きやがって!」
「……平和だね」
「平和ですね」
そんなある日の昼下がり
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