目が。ヨナの瞳が。目に焼き付いて頭から離れない。
驚愕と侮蔑を含んだ、赤い瞳。

気分転換をしようと部屋から出ればことあるごとにヨナと出くわすため、ジェーンは部屋に籠もって酒を煽っていた。

コンコンとノック音がした。できれば人に会いたくなかったが、艦内唯一の医者であるためそうもいかない。しかたなく入室を許可して、机から部屋の扉に体を向ける。
入ってきた人物に、ジェーンは部屋に入れたことを後悔した。




「よお」
「…何の用。レーム」
「おーおー、機嫌の悪いこった」




レームだと分かった途端、ジェーンは体の向きをかえて再び酒を飲み始めた。その様子にレームがへっへと笑う。
いつもならスルーするそれも、機嫌の悪い今はイラッときたらしい。ジェーンは低い声で唸るようにレームに声をかけた。レームは動じることもなく笑ってジェーンの隣に座った。

視界にグラスを持ったレームの右手が入ってくる。レームに視線をやれば、レームは口角を釣り上げながら右手のグラスを突き出してきた。一瞬刺してやろうかと思った。




「…で、何しに来たんだ」




ジェーンはレームが酒を一口飲んだことを確認して口を開いた。




「ああ。お前の元気がねぇんで、様子を見にな」




普通だよ。と返そうとして、ジェーンはその言葉を飲み込んだ。付き合いが長いからだろうか、レームには昔から嘘がきかない。




「……あれが普通の反応なんだ。むしろ君たちが変なんだよ。普通、殺し屋と分かったら顔色変えるだろ」
「大人の反応といってほしいねぇ。ココがお前を雇うと決めた以上、俺たちはそれを受け入れるまでだ」
「その考えでいくとバルメはどうなんの」
「…ありゃ別格だ」




まあ確かに。とジェーンは鼻で笑ってグラスを傾ける。




「だが、仕事に支障がでるのはいただけねぇ」
「…私がいつ仕事に支障をきたした」
「お前じゃねぇ。ヨナの方だ」
「ならヨナに言えよ。私になにができる」
「お前な…ヨナは子どもで、お前は大人なんだ。ちったぁ大人らしく振る舞えってんだよ」




大人らしく、子どもが普通に接することができるように、お前から動け。




「……無理だよ」




子どもと話したことより、殺した方が多かった。そんな私に、子どもとの関わり方なんて分からない。



だってそんなこと、誰も教えてくれなかった





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -