冷たなってしもて
「平子隊長……どいてください。仕事の邪魔です」
「ええやんけ……みつき、やらかこーて触りたなるんや」
「もー、桃ちゃんが困っちゃいますよ、たいちょー」
「暫く振りにあった恋人に隊長呼ばわりはあらへんやろ」
「暫く振り、なんてもんじゃないですよ隊長」
「冷たいやっちゃなー」
それでもふにふに、と隊長はわたしを触り続ける。
「昔みたいに、真子大好きー言うてや」
「この先いなくならないでくれたら、100年後にいくらでも言ってあげますよー」
「はァー、冷た!みつきは氷の女王やー。誰がみつきをこんなけったいなやつに変えてしもたんやろーなー」
「いや、真子のせいでしょ……」
「真子!!!真子て言うてくれた!!!」
「ちが……新人っていったの!!!」
「ちゃァんと聞こえたでー。もうええわ、みつきが言うてくれやんでも俺がたくさん好きって言うわ!」
「えっ……あっ……」
「みつき、待たせてスマンかったのう。もう離さへん。愛しとるで。」
「こしょばいよ……ずっと待っててあげたよ、真子」
「!!!」
「さー、仕事!仕事戻ろう!」
わたしはこの先この人が100年経っても一緒にいてくれるだろうことを知っている。
だから、100年後じゃなくて、明日には好きって言ってあげよう。