NARUTO | ナノ


夕ご飯と言うにはもう遅い。目の前には、久々に腕によりをかけて作った料理がずらり。鮮度を損なわないようにサランラップをきっちりとかけて置いてある。


なまえと付き合ってから半年が経った。


記念日なんて柄じゃないからなんもしないよ、とあいつは言う。そのわりに半休取ったから!と嬉しそうに報告してきたのが昨日の話。もともと休みだったオレは、ならばとご馳走を作ってみた。なまえはオレが作るご飯が一番美味いとか言うから、プレゼントよりこっちの方がいいと思ったんだ。


だけど待てど暮らせどあいつは帰ってこなかった。メールをしても返信はない。当初の予定では昼ご飯になるはずだった食卓を彩るそれらは、自ずと夜ご飯になった。それでも、まだ、なまえは帰ってこない。なにかあったのか、


バンッ!


もう一度連絡しようと携帯を手に取った瞬間、勢いよくドアが開いた。


「おかえり」


時計を見るとちょうど22時を回ったとこだった。時計からなまえに視線を移すと、瞳から大粒の涙をボロボロと零している。何事だ。


「ど、どうした」
「あたし、なんもしないって言ったじゃん!」
「ああ、べつに構わない」
「なんもしないってことは、我愛羅もなんもしないでいいの!」
「好きで作っただけだ」


そう言うとさらに泣き叫ぶなまえ。なんだなんだ、どうした。普段泣いてるとこなんて見たことがないから、どうしていいか分からない。


「なんで、こんな日にクレームあるのよ、ひっく、もう最悪、本当は昼には帰れるはずだったのに、久しぶりに我愛羅とゆっくりする筈だったのに、なんで今日なのよ、が、我愛羅ちゃっかりサプライズしてるし、うう、えーん」


子供のようにわんわん泣きじゃくる彼女を初めて見た。ごめんねを繰り返すなまえ。おまえにとっては不本意だろうが、初めて見るその顔がオレにとってはなによりのサプライズプレゼントだ。


「飯、あっためよう」


182.5日残り2時間








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