NARUTO | ナノ


左手に針、右手には糸を持っています候。
もうこの状況を見て頂いたら今私が何をしようとしているかご理解頂けるでしょう。
   

「シカちゃん針に糸通してよー」
「んぁ〜、めんどくせえ」

   
欠伸をひとつ零してその台詞。もう飽き飽きだよ、あんたのめんどくさがりには。しかもこれシカちゃんのベストが破けたから縫ってあげるのに。そのまま彼はベッドにごろ〜ん。もう自由すぎるよシカちゃん。


裁縫自体はそれなりに出来るけど糸通しだけはどうにも苦手だ。答えは簡単。ただの近眼です。うーっていう唸り声がシカマルの部屋に響く。つい声が出ちゃってたみたいです。


「はーやっぱりだめだ。シカちゃんちゃんお手上げです」
「もーいいじゃねえか、明日で」
「後回ししても意味ないでしょー。しかもちゃんちゃん明日任務じゃん」
「、おい。もう原型ねえよ」


破けたまま任務行ったら彼女何してたんだってなるもーん。未来の奥さんがそんなんじゃ情けないもーん。


「だから今日仕上げたいの」


寝転がっているシカマルに振り返ってそう言うと王子様きょとんとしております。え、あれ。結婚するつもりだったの私だけかな、てかなんかうざかったかな。


急に不安になってえーとかあれーとか言ってるとシカマルの腕がビュンと伸びて、ベッドにもたれかかって作業していた私をがっしり掴む。


「ど、どしたの」
「お前にしてはちょっと今の、反則」


あ、よかった。良い方の反応だった。しかしギュッてされた私の手にはいまだ針と糸。どうしようどうしよう、彼女の威厳が、仕上げたい、完璧な奥さんになりたいなんて思い巡らせたけど針がシカマルに刺さっちゃうと嫌だから左に持っていたものだけ手放した。


そのままベッドの方に引き上げられて仰向けにされるとシカマルの優しい顔。あ、やば。きゅん。好きすぎる。もっと近くにいきたくて腕をシカマルの首に回すと、持ちっぱなしだった糸が絡まっていた。


シカマルの匂いに包まれる前にそれが赤色だったら良かったのになんて、ふと思いながら目を閉じた。




小指に赤い糸



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