NARUTO | ナノ


とてつもなく目覚めの悪い任務だった。せっかく抜け忍を捕えたっていうのに自害するとは、ね。君にとっても死ぬことはなかったんじゃないの。悲しむ人もいるでしょーよ。…いやすまない、悲しむ人がいたらこんなことはしてないよね。愚問だったね。


「ご苦労だったなカカシ」
「、綱手様」
「まあ納得いかないこともあるだろうが、お前は最善を尽くした」
「いえ、お役に立てず申し訳ありません…」


こんな夜はどうしても昔のことを思い出す。深淵にまで閉じ込めているはずの苦い傷を。つらいなあって考えても明日はまた違う任務。浸るヒマもあったもんじゃないよ。まぁ、だからやっていけるのかもしれないね。


「ただいま」
「あ!カカシさんおかえりー!」


美味しそうな匂いがたちこめた自分の部屋を開けるとすごく元気な声が聴こえてきた。びっくりするくらいいつも笑顔だよねなまえって。


「ご飯出来てるよー!、あでも」
「お魚のいい匂いだね」
「うん魚はいい匂いだけど、カカシさんはなんかくさい」
「え?」
「くさいくさい、あーもうくっさい!」
「ちょっとハハハ。なまえなに言ってんの」
「いやカカシさんがくさいんじゃなくってって、違うか。カカシさんがくさいんだけど、カカシさん自体がくさいって言ってるわけじゃなくて…とにかく早くお風呂入ってきて!」
「あ、はいはい」
「洗濯物べつにしてね」
「…うん」


この子は本当にオレのこと好きなのかなー。けっこうな割合で平然とショック受けちゃうようなこと言ってくるんだけどー。いつもより念入りに身体を洗いながら空腹に耐えて先にお風呂を済ませた。浴室から出ると机の上にはカラフルな料理が並んでいた。まだ湿った髪の毛をタオルでごしごししながらそこへ近付くと後ろから腰に手を回された。


「なまえどうしたの」
「カカシさんシャンプーのいいにおい〜」
「さっきまでくさいって言ってなかった?」
「だってなんか沼くさかったよ」


ああ、そういえば任務の途中で浸かったんだったっけ。でもそれでくさいなんて言ってくる人はあんまりいないよね。だって仕事だから仕方ないしね。


「とりあえず食べようよ」
「うーんもうちょっとこのままがいい」
「でも冷えちゃうよ?」
「うーんじゃああとでね」


あとで、だって。今日えっちしてもいいのかな。こんなこと言っておきながらご飯食べたら爆睡したりするからねーこの子。ほんともう振り回されっぱなしよオレ。


「ねえカカシさん」
「うん?」
「さっきくっついた時どう思った?」
「…」


えっちできると思ったけど、それ言ったらダメだよね。


「なんで?」
「えーなんかヤなこと思われてそう」
「それは絶対ないでしょ」
「ほんと?」
「ホントだよ」
「実はね、あたし昨日お風呂入ってないの」
「…」
「ほらーやっぱなんも言ってくれないじゃん」


いやいやいや。べつにくさいとか思わなかったよ?思わなかったけどさっき散々オレのことくさいってよく連呼できたよね。なまえってすごいよね。


「べつになにも思わなかったよ」
「うそだー」
「そんなになまえが気になるならご飯食べたあとお風呂入ったら?」
「うーんでもすでに睡魔が、」
「やっぱりそうなるのね」


こんな世界だけどどうかきみだけにはやさしく出来ていてほしい
明日も頑張ろうかな。



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