NARUTO | ナノ


眠れない。





只今深夜三時を回りました。お布団に入ったのは確か一時頃だったと思います。駄目だ、眠れない。明日はというか今日の朝は早いのに。遅刻とかしたらゲンマさん怖いのに。あの人本当恐ろしいほど怖いのに。


どうしようどうしよう。焦れば焦るほど眠れない。時計のチクタクがやたら大きい。夜が深くなればなるほど私のおめめはギンギラギン。さりげないなんてもんじゃない。堂々とギンギラギン。このパターンは起きなくてはいけない時間の一時間前ぐらいに睡魔が襲ってきて寝坊するやつだ。ヤバイよ、一刻も早く寝なきゃ。


「せんせー、最近わたし不眠気味なんですけどー!」
「あ、そうなの。じゃあなまえにとっておきの寝れる方法教えてあげようカ?」
「わーい!教えて教えて」
「眠れないトキはね、羊を数えるといいんだヨ」
「え、羊?メェーて鳴く?」
「そう羊。メェーて鳴く」


メェーが大分リアルだったな、とか思い出してる場合じゃない。そうだ、私にはカカシ先生から教えてもらったとっておきの方法があった。なんかその会話している時、周りの視線が痛かったのはこの際どうでもいい。あとでシカマルから「お前ぜったい馬鹿にされてるぜ」って言われたのも無視無視。カカシ先生が言うことに間違いなんてないんだから!


「羊が一匹、羊が二匹…」


私は意気揚々に羊を数え始めた。これでやっと寝れる。妄想で作り上げた牧場の中にはこの不眠から救ってくれる羊がどんどん増えていく。メェメェ五月蠅い気もするが、構わず羊は増え続ける。


「なぁなぁ。ヒツジ27号。お前なんで泣いてんの?」
「あ、ヒツジ43号さん。お恥ずかしいです…」


おいおい、会話し始めちゃったよ。頭の中にいる私の羊がまさかのお話タイムに入っちゃいましたよ。ちょっとカカシ先生、これ安眠妨害なんですけど。


「実は、私が好きなヒツジ99号さんに彼女がいるみたいなんです」
「99号か、あいつはモテるもんな」
「ええ。分かってはいたんですが目の当たりにすると辛いですね」
「27号…」


あ、可哀想。本格的に泣き始めちゃった。43号もイイ奴だな。いや、イイ羊だな。ったく、99号のカカシってのはどんだけ素敵な奴なんだよ。おおっと間違えた。カカシじゃないや、ヒツジ。カカシとかヒツジとかややこしいな。いくらカカシ先生がヒツジ99号と似ているからって。


「27号、とにかくお前寝ろ。最近寝てないだろ。寝て忘れろ」
「…眠れないんです。あの方を想うとどうにも…」


あ、一緒。どうしようヒツジ27号の気持ちがダイレクトに伝わってきちゃうよ。だって私も。私もカカシ99号が彼女といるとこ見てから眠れないんだもん。あー混ざるな。カカシ99号じゃない、


「カカシ先生…」


あなたが原因で眠れないんです。だからあなたが教えてくれる安眠法も結局効きはしないんです。







眠れない夜に数える羊もまた、叶わぬ恋に苦しんでいました。



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