NARUTO | ナノ


(あ、雨…)


最後の授業が残り10分を切った。窓際後ろから4番目に座る私が目線を外へ移せば、ポツポツと窓に水滴が当たっていた。今日はやたら雲が多いと思っていたんだ。もう少しで帰宅時間だというのにタイミングが悪い。「みょうじさん」と前の席から声をかけられて我に返るとプリントが配られていた。慌ててそれを受け取り、流れ作業を止めることなく後ろの人へ手渡した。


「きりーつ」


という総務の言葉で学校が終わると、クラスメイトはあれよあれよと言う間に散り散りになる。部活に精を出す者もいれば今からカラオケに行く子もいるようだ。雨は嫌いだ。どこかへ行く気にもなれず、私は帰宅準備をして教室を出た。


下駄箱に着いても雨はまだ降っていた。そこまでひどい雨ではない。現にそのまま濡れて外へ出て行く生徒の方が多いように見えた。上履きから靴に履き替えて、一応玄関の近くまで出てみる。私と同じ考えなのか先客がそこに居た。


「我愛羅」
「、なまえか」


最近あまり話さなくなったご近所さんだ。昔に比べてなんか遠いんだもん我愛羅。


「お前も雨宿り、か」
「う、ん」
夕立ならすぐやむさ
「そう、だね」


ここに君が居た時点で、雨は一生やまなくていいと思った。久しぶりに話をしようよ。私は折りたたみ傘が入った鞄の中身を決して見られない様に彼の横に座った。



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