SLAM DUNK | ナノ
「俺はカレーが好きだ」
知ってるよ、だから今日カレーなんじゃんと明らかに不機嫌になったなまえが大きめの野菜がごろごろ入った器を目の前に置いた。その後も動きが止まることなく俺が固まっているのを横目に、さっさといただきますを一人で済ませ、ご飯とルーを均等にすくって口へ運ぼうとしている。
「カレーってなんで一日目はシャバシャバなんだろうな。最初からあのコクとまろやかさほしくね?」
さぁ俺も食べよう、と両手を合わすとなまえはスプーンに乗ったものを頬張ることなく食器に戻した。
「ちょっと三井!あんたさっきから喧嘩売ってんの!?文句言わずに食べなよ!」
「あ?何急にキレてんだよ」
「急じゃないし!あんたがカレー食べたいって言うから作ったのに!」
「だから食ってんじゃねーか」
「めちゃくちゃ嫌そうじゃん!悪かったわねまずそうで!シャバシャバで!!」
ヒステリック起こしているなまえを無視して俺はご飯とルーがせっかくキレイに分けられているものをぐっちゃぐっちゃに混ぜた。それを見たなまえがさらに顔を赤くさせた。カレーまだ一口も食べてないくせにカッカしすぎだこいつ。
「べつ文句言ってねーし。ふつーにウメーし」
女子の三口にあたるぐらいの分量を思い切り口に入れるとホカホカのじゃがいもが舌の上で崩れ落ちた。
「イモうめー。んだよ、お前も早く食えよ」
恨めしそうに俺を睨みつけているなまえにそう言うと、手元をわなわな震わせ必死で自分を落ち着かせるように無言でカレーに向かい合っていた。
「お前はうぜえくらいに俺の言葉を鵜呑みしすぎじゃねーか?」
「うっさい!三井のくせに鵜呑みとか難しい言葉使うなバカ」
「な!お前それはただの悪口だぞ!関係ねーだろんなこと!」
「バカ三井!もーあんたには一日目のカレーは二度と出さん!一日寝かした二日目のやつを一日目のカレーと言って出してやる!!そして三日目に実は四日目のカレー食って食中毒で死ね!!!」
「あぁ?なんだそれ」
それってすごい愛されてねーか俺?って真顔で言ったら、持続させていたいはずの怒りに乱れが起きたなまえが呆れて笑った。だってそうだろ。美味しいカレーをなるべく多く食べさせようとしてくれてんじゃねーの。俺腹強いから四日目全然いけるぜ。一日目なんてカレー作ったうえに、その日のご飯をべつに作ってくれるわけだろ。
「やべ、次のカレーが楽しみだ」
隠し味は二日目のコク。(という名の愛情)
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