SLAM DUNK | ナノ


気がつけば隣にいるアイツ。


「おっはよー!」
「おはよー、ってあんたらまた一緒に登校?」
「へ?」


気がつけば横にいる。なんで。


「流川!」
「…よす」


よす、って何語ですか?まだ寝ぼけてんの?


「いやいやいや、違うよ。私ひとりで来てたもん」
「なまえー、いくらあんたが大馬鹿でも隣にこんなでかいの居たら気付くでしょ」
「いやいやいや、こいつ存在感ないんだって実は」


のそーっと、しれーっといつの間にやら横にいるもんだから、気付かないのよ。モテるんだかしんないけど、あたしからしたらただの変な奴だ。


「流川、寝癖ひどいよ」
「…おぅ」


会話は続く気しないし。席は隣ときたもんだし。なんだかなー。


4限目までぶっ通しで寝続けている隣の男にお昼を告げるのは何時の間にやら私の日課となっていた。気持ち良さそうに眠るこの男を起こすのは少し可哀想な気もする。でもこんなでかい図体でなにも食べず、午後の部活に送り出すほうがもっともっと可哀想だ。


「るーかーわー昼休みだよ」
「…む」
「よだれ垂れてる」
「…?」
「逆だよバーカ」


よだれの痕がついてるのは右側なのに左の方を必死で拭く目の前の男。だめだこりゃ。


「こっちだよ、てかどっち向いて寝てたかも覚えてないの?」
「それは覚えてる」
「ほんとかよ」
「みょうじの方見てた」
「そうだね〜あんたはいつもその間抜け面を私にさらして寝てるのよ」
「…ちがう」
「はー?なにが?」
「いつもおまえ見て寝てんの」
「、は?」






特等席

(おまえの隣、俺のだから)













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