SLAM DUNK | ナノ


運がない男、三井寿。そう呼ばれるようになったのはつい最近のことではない。なんでか俺だけ職質にひっかかる。チャリ乗ってると盗難車に間違われる。助けてやったのにガキから泣かれる、しかも悲鳴なみの泣き声。ここまでは俺の人相のせいだと突っ込まれることも多いがここから先は違う。どんなに天気が良くても俺が帰る時間になると雨が降る。天気予報で傘マークがあったから傘を持って出るとなぜか晴天。騙されたと思って次の日くもりで傘を持たずに出ると雷つきの豪雨。しまいにゃ「バカ三井ー!今帰ってたら雨降ってきた!あんた今外いるでしょー!」って訳分からんメールが来る始末。ちなみに俺が外出た瞬間だったけど、それは果たして俺のせいなのか。



「納得いかん」
「アハハ、そんなこと真面目に考えてたんだ」



放課後の教室でみょうじに俺はタイミングが悪いだけなんだと熱弁してみたら、大笑いされた。俺はこう見えて本気で悩んでんだ。クソ。こんなことで男スキルが下がるなんて思ってもみなかったがこの前クラスメイトに言われた「三井が彼氏だったらあたしまでツいてない奴になりそー!」の一言が結構パンチ効いてやがる。


「お前だって嫌だろ、雨男」
「まあね」


ほらみろ、そうなるんだ。俺はタイミングが悪いだけなのに。断じて雨男ではないのに。


「聞いて三井」
「あーもういい!ほっといてくれ!」
「あたし雨男は嫌いだけど、三井は好きだよ」


「は?」


雨男はお嫌いですか


長年の片想いがまさかの結末を迎えた。




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