青春2ページ目



「いくよかなた」
「え、どこに?!」

放課後、帰りの準備をしてたらたーくんに引きずられてしーちゃんも一緒に図書室に連れてこられた。
聞けば、千鶴くんたちがお昼休みにやってたタッチするやつの延長で鬼ごっこしてて見つけたラブレターの差出人を探すらしい。




「で?なんでこういう展開になってんだよ」


めーくんが机に頬杖をついて過去の卒アルを見ながら言う。

「愛しい人の手に渡らぬまま暗闇の中でずっと一人ぼっちだったこの切ないラブレター!今こそオレたちが届けてやろうではないか!」
「それでなんで過去の卒業アルバム見てんだ…」

ハローページ見ろ、ハローページというめーくんに折角だからかなこさんのー…とか千鶴くんが言ってる。

「ラブレター届ける気があるなら、探すのはかなこさんじゃなくてそっちの木村ナントカくんじゃないの」

私もめーくんみたいに頬杖をついて卒アルを見ながらそういうと、千鶴くんは一瞬固まってからいーの!!とわめいてた。
それから告白うんぬんの話になって…

「ねー!!かなかなも俺のが一番っしょ?!」
「あー…どれだっけ」
「ほs「ない」せめて最後まで聞いてよ!!」
「あ」
「もしかしてかなこさん!?かなこさん見つけた?!」

私が卒アルで見つけたものに思わず声をあげると、千鶴くんがすごい食いついてきた。

「いや…こーちゃんだ」
「「ええええー!!?」」

千鶴くんとしーちゃんが叫んでみんながどやどや寄ってくる。
…一応図書室って静かにする場所のハズだよね。

「わー、ホントにここの卒業生だったんですね〜っ」
「つかなんだこれ!すげぇかっこいんですけど!」

懐かしい。
私この頃まだ5歳だったなー。
こーちゃんとあーくん、それにこーちゃん弟のちーちゃんによく遊んでもらってた。
よく考えたら二人は18歳、ちーちゃんは15歳でしょ??
よく5歳児の私と遊んでくれてたなー。

「ん、どうかしたかなた」
「へ、あ、別に??なんで?たーくん」
「いや、ぼーっとしてたから」
「あー…うん、懐かしいなぁと思って」
「あぁ、かなたちゃんは昔の東先生を知ってるんですよね」
「うん。私の親、共働きだったからね。よく東家に預けられてたの」

あーくんとイタズラしてこーちゃんに怒られてたっけ。
思いだしたら笑えてきた。
きっとこーちゃんにとって私は妹みたいなもの。
あ、じゃあちーちゃんも私のお兄ちゃんか。

「私、もっと早く生まれたかったなー…」

そしたらこーちゃんはきっと…、
一部考えが漏れてることも気付かずに、そんなこと考えてたらたーくんに軽くチョップされた。

「それじゃー俺たちと会えないよ」
「そーですよ!!僕たちは同じ年、同じ保育園だったから出会えたんですから!!」
「まぁ、1つ2つ違うくらいなら俺たちは保育園で知り合えたとしても千鶴に関しては他人になるよね、完璧」
「ちょ、ゆっきー酷い!!他人て…他人て!!」
「事実だろ。お前は祐希がいたからかなたと知り合えたんだし」
「いや、かなかなと俺は運命の赤い糸で結ばれているから例えゆっきーがいなくても…」
「いや出会わない。きーくんの知り合いじゃなかったら知り合いたくないタイプだと思うし」
「かなかな、俺のセリフにかぶせるのやめて!!」
「通常運転でしょう」
「千鶴クン、かなたのどこを見てるの。いつもこんな感じじゃない」

…そうだよね、たーくん。
私が今の私だからみんなと知り合えた。
私はなかなかに、今の私に満足してるよ。

「あ、スナップ写真もある」

手元の卒アルに視線を戻すと、こーちゃんとあーくんが移ってるスナップ写真を見つけた。

「いやーんっ、あの東先生がピースしてるーっ」

なーんかかわい…といったところで千鶴くんの言葉が止まる。

「…どしたの??」
「「「ちっさ!!!」」」
「ん??ああ、あーくんのことか」
「あーくん??」
「あれ、みんな会ったよね学祭のとき。こーちゃんの同級生のあきらくんだよ」
「…あー!!あのチョコバナナ野郎」
「そう、それ」

高校卒業してから一気に伸びたよねーと言ったら進化に近いと言われた。
まぁたしかに、ここまで一気に伸びるのは驚異だ。
…でも、思わぬところでいいものが見れたな。
今度こーちゃんに言いに行こう。
絶対顔赤くして恥ずかしいなーって笑うんだよ。





あのあと、なんかめーくんのせいでタッチ合戦が再発して暴れた末に花瓶を倒してど叱られた。
私としーちゃん、完璧に巻き添い。
理科室の掃除させられた。
しかも最後にはだれもタッチ合戦の鬼を覚えてなかったっていう。
馬鹿ばかしーけど、まあこれはこれで青春って感じかも(笑)



やっぱり今日はこーちゃんとこに遊びに行こう。
ご飯作ってあげてー、今日の話してあげよう。
あーくんも誘ったら来るかな。
…うん、楽しみ。
そうと決まったら早くお買いもの行かなくちゃ。




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