-破滅弐拾分前-


後20分で世界が壊れるんだって。
ウソじゃないよ、ホントの話。
ついさっき聞いたんだ。
急に寂しくなったからさ、彼女に電話したんだ。今すぐ来てって。
彼女、優しいから、車で飛んで来てくれるって。
でもね、片道30分かかるんだよね。
残念、10分オーバー。
彼女は狭い車の中で、世界の終わりを見るのかな？ごめんね、僕のせいだよね。
僕は優雅にお茶を飲みながら、世界の終わりを迎えるとするよ。

世界の終わりつて、きつと、綺麗なんだらうね。
僕、楽しみでさあ。すごくうきうきしてるんだ。
世界の始まりも見てみたかつたなあ。
ま、いいか。終わりが見れるんだから。
嗚呼、10分切つたね。
もうすぐだ。
彼女は今、どの辺りにゐるんだらう？
もう少し、早く呼べば良かつたな。
やつぱり、死ぬ前に彼女に会えないのは寂しいな。

空ガ黒クナツテキタ。
最期ハ空ガ堕チテキテ終ワリナノカナ？
嗚呼、可哀相ダネ、僕達。
コノママ、何モセズニ終ワルンダネ。
本当ニ可哀相ニ。