だるい身体を起こし、着替えもそこそこにキッチンへ向かった。この習慣は以前から変わりない。
食パンを適当に焼いて、無造作にジャムを塗りたくる。その食パンをくわえながら、テレビを点けた。
朝から真面目な顔をしてニュースを伝える女子アナが映し出される。
初めは、ある政治家の不祥事のニュース。お次は、昨日起こった銀行強盗のニュース。俺の興味を引くものはどれ一つとしてなかった。
そして最後は、芸能ニュース。
ちらりと視線をテレビに向ける。
『半年前に交通事故でお亡くなりになった、歌手の金石美奈さんの追悼式が…』
テレビの中に笑顔の美奈がいた。美奈は世界の中でこんなに輝いていたのか。
急に虚しくなって、消した。

俺が歌を書いて、美奈がそれを歌った。
俺と美奈が創った子供達は世界中の人に愛されていた。
今だって、そう。世界中の人が美奈のことを想い、泣きながら口ずさんでくれる。
それでいいのか?
……うん、それでいいんだ。


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