大学生×小学生





「柚くーん」

ポツリと小さく呟いた。
















子供体温













「やばいなぁ」

背中にじわりと嫌な汗が滲んだ。
まだ梅雨入り前だというのに、空気が湿っていてうざったい。

どうしよう。
ついさっきまで隣を歩いていた柚くんが、いなくなってしまった。
ほんの少し目を離しただけなのに。

ただでさえ暑くて汗をかいてしまうような天気なのに、不安な気持ちも重なって、余計に汗が出てくる。
俺は無意識に歩くのが早くなりながら、挙動不振にキョロキョロと辺りを見渡す。

「はぁ、はぁ」

変な奴に連れて行かれてたらどうしよう。
事故ってたらどうしよう。
不安で泣いてたらどうしよう。

柚くんのことが心配すぎて、嫌な考えしか浮かんでこない。

「くそっ」

中々見つけてあげることが出来ない自分に苛立って、小さく声を上げる。

「あ、真澄じゃん」
「あ?」

後ろから名前を呼ばれて振り向くと、そこには高校の頃の友達が右手を軽く上げて立っていた。

「あ!」
「ん?あぁ。この子、迷子らしくてさぁ」
「柚くん!」

そいつの左手の先には、不安そうな顔をした柚くんがいた。
予想外すぎて思わず声を出してしまったけど、すごく安心した。

「お兄ちゃん!」

小走りで俺の所まで来た柚くんは、俺の腰に手を回してギュウとしがみつく。
迷子になってしまって怖かったんだな、って思いながら柚くんの頭をくしゃくしゃと撫でた。

「え?真澄、弟いたっけ?」
「うん、まぁ。ありがとな」
「いや。じゃあ、もう迷子になるなよ」

柚くんの背中を軽くポンポンと叩いてからそいつは行ってしまった。

未だに腰にしがみついていた柚くんは、目に涙を溜めながら俺を見上げてくる。

「ごめんなさい」
「いや、俺も目ぇ離してごめんね」
「もう離れない」

シュン、としている柚くんが可愛くて、今にも襲ってしまいたくなる。
俺は、なんとか欲望を抑えて柚くんに右手を差し出した。

「手繋いだら、もう迷子にならないよね」
「うん」

少しだけ頬を赤らめながら小さな手で俺の右手を握る。

「あれ?」

子供の体温は高いと言うけれど、柚くんの左手はひんやりと冷たく汗が滲んでいた。

やっぱり不安だったんだな、と、そう思うといたたまれなくなってきて、柚くんの冷たくなってしまった手を離してしまわないようにギュッと握った。



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