大学生×小学生
真澄(会社員/29歳)、柚(高校生/17歳)
「ただいま」
「お兄ちゃん!」
金曜日の夜。仕事が終わって、一人暮らしをしているアパートに帰らずに真っ直ぐ実家へと足を運んだ。
玄関を開ければ、待ってましたと言わんばかりの元気な声の柚くんが出迎えてくれる。
「柚くん。ただいま」
再度、今度は柚くんにだけ向けてそう言って駆け寄ってきてくれた柚くんの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわす。
背は大きくなったけど、相変わらずお兄ちゃん子で可愛い弟だ。
「父さんと母さんは?」
「また旅行に行っちゃったよ。俺が高校生なってからは頻繁に置いてかれるようになっちゃった」
高校生にもなるっていうのに頬っぺたを膨らませる柚くんはまだまだ子供で可愛い。
そんな姿を横目にソファに腰かけながらネクタイを緩める。
背は伸びたと言っても、俺の隣にちょこんと座る姿は昔と変わらない。うん、可愛い。
「んー」
ソファの上で体育座りするみたいに膝を抱えていた柚くんが、突然唸るような声を出しながら俺の肩にこてんと頭を乗っけてきた。
サラサラの髪の毛が首に当たってくすぐったい。
「なに?」
「んー…お兄ちゃん一人暮らし始めちゃうし、なんか成長してからこんな風に甘えてないなーって思って」
なにこの可愛い生き物。
柚くんが今どんな表情してるかは見えないけど、耳がほんのり赤くなってて恥ずかしがってるのがわかる。
あー、このまま押し倒したい。
なんで本当こんなに可愛いの?昔っから柚くん溺愛だったけど、三十路手前でこんなデレデレって、俺やばくないか?
いや、これは柚くんが高校生なのに可愛すぎるのが悪い。
自分のことは棚に上げて可愛い柚くんのせい。
片手で口を押さえながら、うんうんと自分で自分を納得させる。
「お兄ちゃん?」
さすがに不審すぎたか、不思議そうに首を傾げながら顔を覗き込まれた。
「普通に甘えちゃったけど、お兄ちゃん仕事で疲れてるよね。ごめん」
しゅん、と、そう項垂れる柚くんが可愛いくて可愛いくて…
「柚くん反則」
両手で頬っぺたを包んで無理矢理顔を合わせる。
キョトンとしてる柚くんに一度微笑んでから、そのまま唇に噛み付くように大人のキス。
舌を絡ませて思う存分柚くんの唇を堪能してから解放してあげる。少しだけ息を切らして真っ赤な顔をした柚くんはいつにも増して愛らしい。
「可愛い」
「なっ!可愛くないよ…俺、もう高校生だよ」
「知ってる。可愛い」
頭をぽんぽん撫でながら柚くんを見据える。
「…お兄ちゃん。もう一回」
照れたように上目遣いでそう言われればしないでいられる訳もなく。
柚くんをソファに押し倒しながら優しくキスをする。
もしも、例えば、こんな未来。