社会人×社会人





カーテンの隙間から、太陽の柔らかい光が洩れていた。
その光が眩しかったのか、ベッドで俯せになって寝ていた彰宏が身じろぐ。

「ん……っつぅ」

薄く目を開くと段々と意識が覚醒してきて、それと同時に痛みという感覚が戻る。
自分の手首を見遣ると、縛った痕がくっきりと赤く残っていた。まだヒリヒリと痛む手首を見つめてから、指で優しくなぞる。

「…痛い」

ポツリと呟いてから、目の前にある枕に顔を押し付ける。
そのまま右に顔を向けると、彰宏が手首を痛める原因の男がのうのうと安らかな寝息を立てていた。

「最低男…って、ぎゃ!」

俊樹が寝ているのをいいことに、間近で悪口を言ったのがまずかった。
どうやら狸寝入りだったらしい俊樹は、俯せだった彰宏に覆いかぶさって耳に息を吹きかける。
昨日ベッドに入ったまま素っ裸の二人。彰宏は、いやがおうでも俊樹の体温を直に感じた。

「誰が最低男だって?」
「やめっ、…お前だよ!馬鹿!」

未だに自分に覆いかぶさったままの俊樹を罵倒する。
そんな彰宏の姿に、息を吹きかけるだけでは飽き足らず、舌を差し込んだ。
なんとも言えない卑猥な水音がダイレクトに鼓膜を揺らす。

「ちょ、俊樹!」
「何?」
「止めろって、仕事だから…」

舐めるのを止めた俊樹は枕に顔を埋めたままの彰宏の後頭部に優しいキスを落とす。

「…仕事じゃなきゃいいってこと?」
「いや、そうゆう事じゃ」
「アキって明日仕事休みだよね?」

壁に掛けてあるカレンダーを横目に不適な笑みを浮かべる俊樹。今まで暴れていた彰宏の動きがピタリと止まった。
目の前の彰宏の髪の毛を指で梳いてから、うなじに吸い付いて赤い印を残す。

「今夜は目隠しプレイかな」

楽しそうに耳元で囁く俊樹の声に、思わず腰が疼く。

「変態」
「ありがとう」

爽やかな笑顔を浮かべているであろう俊樹に呆れながら、そんな俊樹に惚れた自分を恨むしか出来なかった。



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