高校生×高校生
「あぢぃ〜」
暑い中、生温い風が肌を撫でて余計に蒸し暑さが増す。
パピコを口にくわえながら、少しでも涼む為に容器を両手で思いっきり握った。
ギュッと握るとパピコが口の中に広がって、甘くておいしい。
「なんでお前は涼しそうなんだよ」
「え?」
飄々と隣を歩きながら、パピコをうまそうに頬張っているそいつに目をやる。
「あ〜…暑くて死ぬ」
片手をパタパタと動かして少しでも自分に風を送る。
「帰ったら涼しいんだから頑張って」
「………」
のんびりした口調でそう言ってきた奴の背中をグーで殴った。
俺の家に来いよ、って誘うくらいしろよ!
ドスッと鈍い音がしたけど、そんなん知るか。
小さく呻いた朋が睨んでくるけどシカトする。
「拓也」
「おわ!」
名前を呼ばれたと同時に首に朋の腕が巻き付いてきた。
暑くて嫌な筈なのに、朋の腕だと思うとドキドキと心臓が高鳴る。
「な、なんだよ」
片手でパピコを持ちながら、もう片方の手で朋の腕を掴む。
「次やったらここで犯すからね」
耳元で恐ろしいことを囁かれて、勢いよく頭を縦に振った。
まさか、温厚な朋にそんなことを言われると思っていなかった俺は、身体中の血液が顔に集まる。
「さ、帰ろうか」
俺はあっさりと解放されて、朋はのほほんとしながらパピコをくわえた。
「朋のばーか」
暑い中更に暑くなった俺は、小さい声で悪態をつきながらパピコの容器を頬っぺたに当てた。