>> オトコの諸事情A

「当日と一週間、どちらになさいますか?」

最近レジをまかせてもらえるようになりました!ということで、ニッコリスマイル(0円)でおもてなし。あ、レオン借りるの?いいよねこれ。と、そこに立っているお客さんに言いたい。あ、ハンカチ用意してから観てね。

「ありがとうございました」

丁寧なお辞儀をしてもう一度笑う。はい、お次の方どーぞー。


あれ?そこの少年五人組、君達の番ですよ〜?

レジ待ちをしていた少年五人組が全然レジに来ない。少年Aが頬を染めて隣の少年Bに何かを言っている。そして持っていたDVDを少年Bに押し付けた。「ジャンケンで負けただろっ」と言う声が聞こえた。もういいよ、何でもいいから早く持ってきてよ。そんな雰囲気が伝わったのか、後ろにいた少年Cが前の二人をこずいて、結局少年Aがやってきた。

「いらっしゃいませ〜」

笑顔で接客。しかし渡されたDVDを持って、一瞬笑顔が凍った。

そういうことか。


少年達もラビの仲間か。


―オトコの諸事情A



ある夕方のこと、ひかりと僕はいつものように僕の部屋でのんびり過ごしていた。どういうわけか、今日はひかりの機嫌が悪い。何かあったのかと尋ねれば、訝しげな顔をして僕を見る。そして「アレンは読んでないよね?」と言ってきた。

「え、何を?」

最初は新書の話かなんかだろうと思っていた。でもひかりはとんでもないことを言いやがる。


「・・・・・エロ本」


ええっ!?と声を上げそうになった。堪えろ、堪えるんだ僕。


「どうしたんです、突然」
平然を装ってみる。

「ラビが・・・アレンも読んでるって言うから」

あのお喋り兎が。僕はラビへの怒りを飲み込んで「読んでませんよ」と笑う。それでも信用してくれてないのか、ひかりは不安げな顔を止めなかった。僕は何となく悪いことをしてるような気持ちになってきて、「お菓子、持ってきますね」とひかりの頭をポンポンと軽く叩いて、逃げるように台所へ向かった。

リビングまで来て「ジュースも足しとこうかな」と思い直し、部屋に戻りドアを開けた。


「何やってんですか」
「あ、いや・・・」

ドアを開けたら、ベッドの下をひかりが覗き込んでいた。・・・僕ってそんなに信用ないのか?

「あるかなっと思って」
「ないですよ」

僕は持っていたお盆を床に起き、体操座りで小さくまとまったひかりの前にしゃがんだ。

不安げに僕を見上げるひかり。なにこの子、今日すごい可愛い。誘われてるんですかね?僕。
自分の中にふつふつと湧いてくる触りたい欲求。た、堪えろ、そして絶えろ僕の生理的欲求。今いったらきっと戻って来られない。

ぎゅうっ

赤面して俯いたひかりが僕の腕のYシャツを掴んだ。
はいスイッチ入りましたー

「う、わ・・・アレン?」
ひかりのおでこ、目尻、耳、頬にキスを落とす。ひかりはぎゅうっと目を瞑る。

「ひかり、」

そう呼べば、うっすら目を開けて僕を見る。

「まだ、不安?」
僕が首を傾げると、ひかりはフルフル首をふった。

「ひかり、大好きだよ」
そう言って抱き締めたら、腕の中で「私も」と小さく返ってきた。



オトコの諸事情
君がイチバン


〈おまけ〉

あ、
ラビが僕の部屋にエロ本隠してるの忘れてた。

ガラガラッ

「引き出しにあったりして〜」
「あはは、ないですよ(そこには)」


ま、いっか。

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