>> オトコの諸事情@

男の嗜み、それは読書。読んでいる本の名前や内容はむやみに喋らず、黙々と読むのが好ましい。そして俺は今日も本を読む。誰にも邪魔されない屋上で一人、本を開く。


「ラビぃ、何読んでんの?」
「うおぉ!?」

バサバサッ

ひかりが俺の落とした本を拾い、目を見開いた。最悪だ。

「なに、これ」
「いや、違うさひかり!これはたまたま―」

ジロリ、ひかりが白い目で俺を見る。やばい、これは何も信じてない目さ。試しにヘラッと笑ってみたら、ひかりの顔が歪んだ。

「最っ低!!!」



いや、エロ本も大事な読書さ、ひかり。


―オトコの諸事情



「だーかーらー!そんな白い目で俺を見んな!」
「もうやだ、ラビのせいでお昼がまずくなりました〜」

少しずつ暖かくなってきた今日この頃。ポカポカしてて気持ちいい。こんな日は屋上とかでご飯食べたいよね、神田ぁ。なんて話してたら、ラビがいないことに気付いた。「ラビは?」と神田に尋ねると本を持って屋上に行った、とのこと。なんだ、私もラビも考えることは同じなんだね。こんな気持ちいい日に屋上で読書なんて、彼もなかなか乙だな。

「私も行こうかな」

私は神田に告げてお弁当を持ち屋上へ向かった。
そして今に至る。

「本当信じらんない。
こんな気持ちいいお昼に屋上でこそこそ隠れてエロ本ですか」
「俺はマジメさ!」
「おぅ!?ならその思惑を告げたうえでもう一回最初のモノローグ読んでよ!いやらしい意味にしかとれないよ!」
「エロ本は立派な嗜みさ」
「ラビ本当最低もう明日から私に触らないで」

早口かつ棒読みでラビを罵り、野菜ジュースに口をつけた。うん、不味い。


「男はみんな読むんさ、エロ本」
「うわ、開き直った」
「本当さ。需要があるから供給があるんだぜ?ひかりちゃん」

最もなことを言っているようだけど、エロ本の話です。そしてちゃん付けが気に入らない。

「マジだって!ユウも読んでるさ!(知らないけど)」
「嘘だね!」
「本当さ!」

もうなんかどうでもいいよ。私には分からない話だな。そう割り切って教室に帰ろうと立ち上がった瞬間、ラビが口走った。

「アレンも読んでるって!」


それは聞き捨てならん。ていうかラビとアレンをいっしょにしないで頂きたい。

「アレンはそんなの読まないもん」

アレンの部屋にそんなものは存在しません。

「分かんねえぞ。
まず彼女の見えるとこには置かないさ」

いや、アレンはそんなもの読まないもん。

「アレンだって思春期の健全な男の子さ」

読まないもん。

「アレン、紳士な顔して肉食だからな」

アレンに限ってそんな、
「心当たりあんだろ?」


・・・・・。


「あ、予鈴さひかり」
「・・・・・」

「ひかり〜?」


あながち否定できない。


オトコの諸事情
「アレンも読んでるのかな・・・?」
(あ、俺やばいことしたかも)



――――――

長くなりそうなので3つくらいに分けます。

エロ本の話だということを解釈した上で「男の嗜み〜」のモノローグを読んでみてください。本当にいやらしい意味にしかとれません。

言葉って不思議☆

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