>> 08.急な訪問

「じゃあこれ、元の所に戻してきてください。」

「・・・・・。」

「返事。」

「デジャヴ?・・・あいたたたた!ごめんなさい。はい!分かりました!つねらないで!」


―――――――。



おはようございます。皆さん。そうですよ、前回の続きですよ。戻って確認しなくても大丈夫です。

例のあの休憩室の事件(?)から3日。あの天使のような彼(あ、アレンって呼べって言われたんだよね)、アレンはどこかへ旅立ってしまったようです。残ったのは私の目の前にある大量のCD、DVDの入ったカゴ。デジャヴっていうか量増えてないか、これ。


あれは、夢?

頭が悶々してか、CD達に引いてしまってか、レジの後ろでうーんとうなる私。


「・・・・・あだっ」

「さっさと働きなさい、ひかり。」


アレンはバーコードをピッてするあの機械で私を叩いた。


「はいよ。」


私はカゴを持ち上げる。当然、夢なんかじゃない。ふふ、と顔の筋肉が緩む。さあ、今日も頑張ってやろうじゃないか!営業スマイルだってティッシュ感覚で配ってやるよ!あ、お客さん!


「いらっしゃいま「ふお〜」・・・。」


百万ドルの営業スマイルは一瞬にして凍りついた。


「ラビ、と神田・・・。」

「ひかりの働きっぷりを見に来たんさ〜、な!ユウ?」

「・・・・・フン。」

「え、何。もう帰ればいいのに。」

「あれ!?さっきのスマイルはどこいったんさ!!」


ふふ、と薄っぺらい笑みを浮かべる。ざっと25円くらいの笑顔で。恥ずかしいから早く帰ってくれ。すると、ラビは私に耳打ちをした。


「あと、例の鬼の指導員も見にきたんさ」

「ええ!?」


ラビはヘラ〜っと笑った。何考えてるんだコイツ・・・!


「仕事の邪魔はしないさ〜」

「分かったから、気が済んだら帰ってね。」

「はいはい。」


私がそう言ってラビから離れようとした時、



ガシャンッ



何かの落ちる音がした。


「ラビ・・・・・?」

「へ?おお〜!!アレンじゃん!」

「久しぶりですね!」

「・・・・???」


私はアレンとラビを交互に見る。二人って知り合いだったの!?頭に疑問符を浮かべまくる私に気付いたラビは言う。


「アレンとは中学までいっしょだったんさ〜」

「・・・そうなんだ!」


またヘラヘラと笑うラビは、何かを思い付いたようだ。


「あ!そうさ、アレン〜」

「なんです?」

「ひかりの指導員って誰なんさ〜?」



え!?おいおい何聞いてくれちゃってるんだコイツ!誰もなにもこの人なんだけど!!


「なんでも指導っぷりが鬼らしいじゃん?」

「へえ〜」



やばい。アレンの周りの空気がだんだん重くなっている。ラビ!もうやめて!お願い!!


「アレンと同じN高らしいさ〜」

「・・・・・へえ」

「ちょ!ラビ・・・!」

「おかしいですね。N高で木村さんの指導員は僕ですけど、鬼みたいな指導員はいないですね。木村さん誰のこと言ってるんですか?」

「あは!ははは・・・?」


般若!アレンの背後に般若!ラビのばか!ラビはようやく自分がしでかしたことに気付いたらしい。


「は!そういえば俺『おっぱいバレー』借りに来たんさ!」

「え、ラ「じゃ、ひかり!仕事頑張れよ〜」


そう言って彼は足早にDVDのブースに消えて言った。



嵐のように去る
どうしてくれるんだ!

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