▼ もしもTくんがTさんだったら(2)
(2015/01/28)
in パンドラは匣の贄03
「僕になにか話があるから来たんだろう? なにせ日曜の昼前から訪ねて来るほどの用事だ。寝ている僕を叩き起こすくらいなんだから、さぞ大事な用があるに違いない。さあ、話してもらおうじゃないか」
「うん。実は……
月祭りのとき、古本屋で預かったお面を神社に運ぶ用事を頼まれたんだけどさ」
「うんうん」
「そのお面っていうのが悪い鬼のお面でさあ。オレも運んでる途中でそのことに気づいて『破ァー!』つって消し飛ばしたんだけど」
「うん?」
「それがどうも大事なお面だったらしくて、親父にしこたま怒られちゃって……休日家に居づらいんだよね」
「……その手首の引っかき傷は?」
「あ、これ? 猫に引っかかれたんだけど」
「なるほどね。事情はよくわかったよ。
――Tくん」
「?」
「そんなことで僕の貴重な休日を潰すとは良い度胸じゃないか。そういう事情なら君の行くべきところは僕のところじゃない。さてTくん、君が親父さんの前で土下座して許してもらうところを見届けに行くとしよう」
月上ゲ町奇譚NGその2。
続編・もしもTくんが正真正銘『寺生まれのTさん』だったらシリーズ第2弾です。
もしTくんがTさんだったら、そもそもの事件が起こらないわけですから「ばけものづくし」の下りはほとんどカットです。「パンドラは匣の贄」も3回くらいで完結。むしろなくてもいいくらいの扱いです。めちゃめちゃ味気ないですね。
……と言いますか、キッタくんさえひねくれていなければ、です。なにもTくんがTさんでなくったって「匣」は01で終わっていたのではないでしょうか。
と、元ネタがわからない方は『寺生まれのTさん』で検索、もしくは月上ゲ町本編を一読されることをおすすめします。念のため。