文章3 | ナノ
大袈裟ガール
しまった、油断してた。
と思った時にはすでに遅くて、咄嗟に首を抑える。
しかしそんなことをしても痛みは消えるわけがない。
痛みと後悔に襲われた私はその場にしゃがみこむ。
「う、あ…!」
痛い、いたい、イタイ!!
どうしようどうしようどうしよう!
血出ちゃったかな?
跡残っちゃうかな?
頭の中は軽くパニック状態だ。
タタタッ、と誰かが走ってくる音が聞こえた。
「どうしたんだよいはなこ」
「まる、こ?」
ああ、マルコだ。
顔を上げるとそこにはマルコがいた。
心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「大丈夫かよい」
駄目しぬ、しんじゃう。
屈んだマルコに私は抱きついた。
「いたい、すっごい痛い」
「どこが痛いんだよい」
ぽんぽん、とまるで子どもをあやすように背中を叩いてくるマルコに私はここ、とすっごく痛い首を指差した。
「……………はあ」
「な、なによ!」
私の傷口を見せると盛大な溜め息を吐いたマルコに少々苛立つ。
だって、マルコったら呆れたように溜め息を吐くんだもん!
(私はすっごく痛いって言うのに!)
「ちょっと引っ掻いただけだろ」
「油断してたからすっごく痛いの!」
「油断もくそもねえよい。んなもんで痛いってんなら戦えねえだろが」
マルコの言うことも一理あるけど……
首に掠り傷が出来てたのをすっかり忘れてて、首をかかった髪の毛をどけようとした時にその掠り傷を引っ掻いてしまった私。
触るだけでも痛いと言うのに、それを忘れていて引っ掻くだなんて!
(爪を切り忘れてたからさらに痛い!)
だいたい、私がそこらへんの海賊相手に負けるわけないし、
「戦うときはケガしないもん」
「お前よりも強いやつはいくらでもいるんだよい」
「その時はマルコが守ってくれるんでしょ?」
そう言ってじっ、とマルコを見つめると呆れたような嬉しそうな…なんだか難しい表情をしてマルコは声を詰まらせた。
「ねーマルコが守ってくれるんでしょ?」
「…まあ出来るだけそうするよい。でも、どうしてもってこともあるだろ」
むっとした顔をすると今度は頭を撫でるマルコ。
こうやって撫でられるのは大好きだけど、丸め込まされそうでなんだか嫌だ。
(あ、なんか矛盾してる…けど、いいや)
仕方ない、私が譲ってあげないとマルコが駄々こねるからね。
私って大人だね!
にっこり笑うとマルコもにっこり。
あーよかった!
………ってあれ?
なんでこうなったんだっけ?
(大袈裟だよなはなこって)
(もう慣れたけどな)
アンケートより
大袈裟で我が儘な彼女に甘いマルコ