文章2 | ナノ
黒羽丸
▼カツ丼の利用方法
「黒羽丸ー」
「なんですか?」
「うわ、いたんだ」
「はなこさまがお帰りになってからずっといました」
「え、じゃあ着替えの時にもいたの?」
「………」
「見たんだ……」
「い、いや!断じて今日の下着が黒だなんて知らないぞ俺は!」
「真剣に黒羽丸をどうにかしてもらおう。ささ美ちゃん辺りに」
「何故そこでささ美が出てくるんですか?」
「女の子同士、いろいろ分かり合えるの」
「な!そんなこと俺が許さない!」
「いやいやいや、そこは許せよ」
「はなこさまはささ美に話せて俺には話せないことがあるんですか?」
「あるよー普通に」
「例えば?」
「恋愛とか」
「れ、恋愛!?」
「な…なによ?私がしちゃいけないの?」
「何故俺ではないんですか?」
「ばっ!恋バナって言ったら女の子同士がするもんなの!」
「!」
「分かったら出てってよね」
「あ……ああ…」
数日後
「なあなあはなこさま」
「わ、トサカ丸どうしたの?」
「兄貴がさ、変なんだけど」
「黒羽丸が?別に普通じゃない?」
「いや、まあ仕事に支障はないんだけど……なんかボーっとしてるっつーかなんて言うか…」
「じゃあほっとけば?そのうち元に戻るでしょ」
「そう思ってほっといたんだけど、遂にささ美がキレちまってさ。『気持ち悪い目で私を見るな!』って」
「え!黒羽丸ってばどんな目で私のささ美ちゃんを見てたの!?」
「うーん、俺が見る限りではただボーっとしてるだけに見えんだよな…」
「役に立たない鴉ね」
「仕方ねえじゃん。兄貴がボーっとしてるなんか稀なんだからよ」
「だからこそもっとちゃんと見ときなよ」
「あ、でも時々雪女や馬頭丸を見て溜め息を吐いてるぜ」
「め、馬頭を見て!?」
「意味分かんねえから俺らどうしようもねえんだよ」
「うーん……実は黒羽丸は同性愛者とか?」
「それなら男ばっか見るだろ……あ、可愛いもの好きとか?」
「ささ美ちゃんは美人系だと思います!」
「難しいな…」
「うん…」
「何を2人で話しているんだ?」
「お、噂をすればってやつか」
「な、なんだ?」
「まあまあ黒羽丸くんよ、ちょっとここに座りな」
「はあ?」
「座らせてどうすんだよ?」
「ちっちっ、トサカ丸はまだまだだなあ。尋問と言えばカツ丼でしょ?」
「ないけどな」
「トサカ丸!はなこさまになんて口の聞き方しているんだ!」
「ささ美だって敬語使ってねえじゃん」
「トサカ丸なに突っ立ってんの?」
「え?」
「カツ丼買ってきてよ」
「俺!?」
「私はほら、黒羽丸を拷問にかけなくちゃいけないから」
「尋問ではなく!?」
「へ、へえ……じゃあ買ってくるよ」
「気をつけてねー」
(バサバサッ)
「よし、お待ちかねの拷問タイム!」
「何故!?」
「何故って、それは黒羽丸が1番分かってるんじゃない?」
「俺が…?」
「最近いやらしい目でささ美ちゃんやつらら、馬頭まで見てるらしいじゃん」
「いやらしい!?ご、誤解です!」
「いやいやちゃんと証人がいるんだよねー」
「ね〜」(ぎゅっ!)
「やっだもう〜…ってなんでいるの?」
「牛頭が遊んでくれないんだー。はなこ僕と遊ぼうよ!」(ぎゅぎゅっ!)
「うっぷ、ちょっと絞めすぎかなー?」
「馬頭丸!はなこさまが苦しんでおられるではないか!今すぐはなこさまから放れろ!」
「えーやだよ、僕はなこ大好きだし」
「なっ!」
「やだ私照れるじゃん!可愛いなあ馬頭は」
「可愛いのははなこだよー」
「な…な…」
(はなこさまあああ!兄貴が灰になってるうううう!!)
(え?水かけてみなよ、風化は抑えられるかもよ?)
恋バナとかしてほしいけどはなこちゃんの恋バナを聞くのがいや、という感じで矛盾してる自分にもやもやする黒羽丸。
馬頭丸がはなこちゃんに抱きついてるの見てもやもやいらいらする黒羽丸。