シリーズ | ナノ
「た、隊長?」
トラファルガーと会ってから隊長の様子がどうもおかしい。
おかしいってのは、例えば私が「隊長ー今日のお風呂はいつですかぁ?」って聞くといつもなら無視されるか、無言で殴られるかのどちらかなのに、今の隊長は「ああ…飯食ってから入るよい」…って!
アンビリーバボー!
未曽有の大事故で流石の私も声が出なかった。
「へー飯食った後だな」
「うん、そうらしいよ。
だからエースはご飯までに入ってね」
「よし、飯食ったら速攻風呂行ってやるぜ」
「死ねばいいよ」
「てめーがしねよ」
エースの馬鹿とのくだらなすぎる言い合いは今回だけ私が断念してあげた。
(エースなんか相手してる暇はないの!)
なんだかなー、隊長の様子がおかしいと私までもがおかしくなってしまいそうだ。
(あ、性的な意味でじゃないからね!)
隊長が冷たいのはいつものこと。
しかし、愛ある暴力を奮わないのは今回が初めてではないだろうか?
エースにはいつも通りなのに!
なんたる仕打ち!
も、もしかして何か悪いことでもしたのかな…?
私が隊長のパンツ盗んではあはあしてた時でさえ海に投げ込まれて後は普通に接してくれたっていうのに…
今回は断じてそんなことはしていない、断じて。
「今日はえらく暗い顔してんなはなこ、」
「…さぁっちー」
考えながら歩いているといつの間にか食堂に着いたようだ。
それに気づかず、突っ立っていると後ろからサッチに呼ばれた。
「はあ?マルコがおかしい?」
「うん…」
「そりゃお前…なんかしたんじゃねーのか?」
「してない!
私が浮気なんてするはずないでしょ!」
「ああ…ああ、じゃあお前あれだろあれ」
「最近サッチ、あれとかこれとかよく言うようになったね…」
私が小さい頃はそこまで言ってなかったのにな…
時間の流れは恐ろしい。
なんて考えてたら頭に重い一撃。
お、女の子になんてことを!
いくら隊長に殴られなれているからと言ってもこいつ手加減なしに殴りやがった。
「まあマルコんとこ行ってこい」
「…わ、わんすもあー」
「ほら、連れてってやるぜ!
なんたって俺はお前の兄貴分なわけだしな!」
「へ!いや!いいって!ねえ!」
わははは!とか笑ってないでさあ!
今行っても調子狂うだけだって!
聞いてる!ねえったら!
私の声は虚しく船内に響くだけでずるずると私の首根っこを掴んでいるサッチの向かう先は確実にマルコ隊長の部屋。
やめてえええええ!!!
(なんでこういう時にエースがいないのよお…)