シリーズ | ナノ
なんで私は生まれたのか、なんで私がはなこなのか、なんで私はマルコ隊長が好きなのか、なんで、なんで、疑問なんて単純に生まれるものだ。
それを誰に訪ねるか、それとも自分で考えるかは自分の勝手である。(まあ私が隊長を好きなのに理由なんていらないけどね!)
私はと言うと今猛烈にとある疑問を脳内で解決しようと考えていた。
「…なんで」
「何か言ったか?」
その疑問とは、なんで私はこの人と一緒にいるんだろうか、とのこと。
この男はトラファルガー・ロー。
確か死の外科医とか呼ばれてる億越えルーキーだった気がする。
そんな奴がなんで私と一緒にいるんだろうか。
「船に戻んなくていいの?」
「そういうお前は戻らなくていいのか?」
そんな会話をもう何回しただろうか。
かれこれ18回はしたと思う(15回だ)。
久しぶりの町に浮かれてエースの言うことも聞かずに船を飛び出してきたのは毎度のこと。
しかし、この町は馬鹿でかく、なんと迷路のような造りになっているので地図なしでは絶対に迷ってしまうらしい。
…私はどうやら迷子とやらになってしまったらしく、動き回ることを諦め、ベンチに座って町行く人々を眺めているとトラファルガーが隣にやって来て……と今に至る。
「まさか迷子とかじゃないよね?」
「…この俺が迷子なわけねえだろ」
「今の間はなに?」
「迷子の奴に迷子かと言われたくねえな」
迷子になってしまった時はどうしたらいいんだろうか。
町の人に声をかける?そうしたいのは山々なんだけど、なんか分かんないけどさっきから不審な目で見られてるんだよね……
ジッと隣に座るトラファルガーを見るとトラファルガーも私をジッと見てきた。
「…なに?」
「お前、ポートガス屋が好きなのか?」
「……は?」
いきなり…意味わかんないし。
どっからどう見て私がエースを好きになるんだ、わけがわからん。冗談で言ってるんだろうと思えば、トラファルガーは至って真剣な顔をしている。
さらにわからん。
「あいつはやめとけ」
「いや、あの、」
「好きになるならもっとかっこいいやつにしろ」
「はあ……?」
確かにへなちょこエースなんかマルコ隊長と比べたらウジ虫程度だ。
てかこいつは何が言いたいのだろうか…。
真剣な顔までして。
私は一刻も早く船に戻りたくなった。
ああ愛しのマルコ隊長!早く私を迎えに来て!
…なーんてね、隊長が迎えにくるわけな
「何やってんだい?ひとりで」
くるわけな……くなんてなかった!
「隊長!!」
すぐさま腰をベンチから上げ、隊長に飛びついた。
てっきり軽く避けられるかと思ったのに隊長はそのまま動かず私に抱きつかれていた(え、これ本当に隊長?)。
「…なるほど、そっちか」
「は?」
「トラファルガー、うちに何か用か?」
ククッと笑うトラファルガー。
ほんとなんだよあんた。
まあそんなことどうでもよくて、私はこの¨抱きついたのはいいけど、この後はどうしたらいい?¨状況に追い込まれているのだから。
トラファルガーは隣に置いていた大刀を掴み、立ち上がった。
「そろそろ俺も戻るか……じゃあなはなこ」
「はあ……!?」
「!……」
「ククッ」
ななななな!!!何今の!?
立ち上がったトラファルガーは私とマルコ隊長の方へやって来て私と目線を合わせたと思ったら、ヤツは、その、あの、私の頬にき…き、キスをしてきたのだ(ちゅって言ったよちゅって!!)。
ちょ!隊長の前でそんな!!
隊長をチラッと見ると…ああどうでもよさそうにトラファルガーを眺めている。
そうだよねー。
ごめん抱きつけれたからって調子乗っちゃったよ。
(トラファルガー迷子なのに大丈夫なのかってのは今の行為でぶっとんだ)
「帰るよい」
「はーい…」
トラファルガーが見えなくなると、隊長はそう言って地図を取り出した。
抱きついたままじゃ動きづらいだろうと思い、抱きついていた手を放すと隊長はなぜかちょっと驚いた顔をした(すぐ戻ったけど)。
な、なんですか?そしたら隊長は私の手を掴んで歩き始めた。
「へ!?た、隊長!手!」
「…すぐ迷子になるだろい」
「そんなに間抜けに見えますか…」
「ああ」
も、もしかしたら隊長やきもち!?
…なんてことはこんな稀な機会を逃したくないばかりに死んでも言えっこない(まあ隊長が私なんかにやきもちやくわけがないんだけどね…うわ自分で言って悲しくなってきた)。
ただ隊長の引っ張られるがままに歩く私。
隊長の手ぬくいなあ…長時間ベンチに座っていた私の手はきっと冷たくなっていたはずだ。
隊長に暖められてる私…なんかエロくていい!!
きっと私の顔は船についても緩みっぱなしだったんだろう。
エースには船についた瞬間背後から跳び蹴りされた(その瞬間に私の手とマルコ隊長の手は放れた。ああ隊長!隊長はこちらを見ずに食堂へ入ってしまった)。
そしてナースのお姉さま方にはしつこく聞かれたので先ほどの話をすると「よかったわね」とにやにやしながら言われちゃった!
うん私もう手洗えないよ。って言ったら「そういうことじゃないわよ」って言われた。
私的にはそっちのがよかったと思ったんだけどなあ…ってそれ以外に何かよかったことあったかな?隊長が迎えに来てくれたこと?
確かにそれも嬉しかったけど…うーんわからないや。
ナースのお姉さま方は相変わらずにやにやしていた。
(マルコお前なーんでそんな機嫌わりいんだよ?)
(…うるせえよい)
(あんないちゃいちゃしながら帰ってきたってのにその機嫌はねえだろ)
(黙れサッチ)
(お前も不器用だなあ…)
(…はなこにあの変態さがなかったら俺だってこんなにも困らねえよい)
(…それもそうだな)