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「あ、おはようございまーす」

「………」

「もー隊長ったら起きるの遅いですよ!
まぁあわよくば既成事実作っちゃおって考えて、っげふ!!」



…っ痛い痛い痛いいい!!
い、いつもよりかなり深く鳩尾に入った…。


隊長は私がせっかく起こしに来たってっていうのに隊長の上に乗っかっていた私の鳩尾に一撃かまして起き上がり、スタスタと一言も喋らずに上着を羽織りながら部屋から出て行ってしまった。
私はというとあまりの痛さに悶えていて(すごい痛い!!)、隊長を追いかけることができなかった。

朝からひどい仕打ち!
(だけどこれも愛の試練だと思えばやってのける!)






「隊長!隊長のせいで鳩尾に痣ができちゃったじゃないですか!」

「よかったじゃねえか」

「そうですよね!私をキズモノにしちゃいたかったんですよね!やだもう隊長ったらー」

「お前の頭は毎日幸せそうで羨ましいよい…」

「隊長も幸せにしてあげますから心配しないでくださぶはあ!」



本日2回目の打撃。
今度は目の前にいる隊長からでなく、後ろから飛んできた。
あ…頭が……余計に悪くなるじゃん!



「はなこなんでお前は隊長ほっぽりだしてマルコと喋ってんだよ!!」



後ろを向かずとも分かる声。
私は頭を抑えながら恨めしそうに後ろを振り向く。



「うう…起こしたら起こしたで怒るくせに…」

「マルコ!この変態に何もされなかったか!?」

「今はお前の方が変態だよい!」

「いてえ!!」



へっざまあみやがれ。
隊長の体をべたべた触るエースに拳骨をかました隊長。
隊長に叩かれたエースは嬉しそうな顔をしながらうずくまっている(なんて気持ち悪い…)



「マルコ隊長、エースなんかに構わないでいいじゃないですか!むしろ私に構ってくださいよ!」

「お前ら2人とも気持ち悪くて近寄りたくないよい…」

「そんな真顔で!?
いやいやいや私の方がマシですよね?」

「…どんぐりの背比べって言葉知ってるかい?」

「はい!
私と隊長の気持ちは同じくらいの大きさってことですよね!」

「………はあ」

「隊長ーため息つくと幸せ逃げますよー」






(ああもう結婚しちゃいましょうよ!そうすれば幸せになれますよ隊長!)
(幸せになれなさそうだよい)
(私に全てを委ねていいっすよ!)







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