俺は、モテる。ウザいぐらいに。そりゃ顔も良くて運動もできて性格もそこそこだったらモテる。だけど俺のモテ方は異常なケースが多い。まず謎のファンクラブ。恐怖のバレンタインデー。お返しがめんどくさい恐怖のホワイトデー。そして俺のことを好きになってくれる人は、普通人よりも嫉妬心が凄まじい。




例えば、例えばだけど俺とオナマエが喋ってたとする。昨日のメシうまかった、そんな他愛ない内容の話をしたとする。その状況を俺のことを好きなやつが見てたとする。…そうしたら次の日確実にオナマエの上靴は無くなっている。




驚くことに嫉妬心の矛先は全部オナマエに流れる。今までアイツは自分から上靴隠された、ノート捨てられた、体操服が無くなった…そんなこと言ったことがない。どうしたんだよって聞いても無くしたっていう。バレバレな嘘つくぐらいなら正直に言えって。





ほら、今日も何か無くなったみたい。





「何探してんの」





放課後、俺が部活の途中に忘れ物に気づいて教室に戻ったらオナマエが教室に居て何かを必死に探してる。実は5分ぐらい探してるところを見てたんだけどこっちに気づく気配なくて話しかけてやった。





「るはん、くん」





俺に気づいた瞬間、やばいって顔してこっちを見るオナマエ。何かいつもと反応ちげぇな。今回は何無くしたんだよ。おいおい、焦って後ずさりすんなよ。逃げんなって。





「どうした?」





俺だっていつでも意地悪な訳じゃない。優しい時だってある。なかなか答えないオナマエに少しイラついてくるけど今回だけは気長に待ってやろう。






「何無くなったの?…答えろよ。」






だんだん答えないオナマエに苛立って少し口調が強くなってしまったけど、しょうがない。答えないオナマエが悪いんだ。こっちは部活なんですけど、早く答えてくれないかな。



待てなくてオナマエに近づいて両手で肩を掴む。びっくりして俺を見てからうつむくオナマエ。「どうした、言えよ」優しくなくてごめん。ただ、お前が心配なんだって。調子狂わせんな、ぶす。





「ごめんね、ルハン君」「だから何無くしたんだって」「言いたくない」「は?言えよ」「 言いたくない」「何だよ、教科書?ノート?上靴は履いてるよな?」「部活中だよね?部活行っていいよ、ごめんね」「んだよ、うぜーなぶす」「ぶすでごめん、うぅ、ごめん」「おい!泣くなって!!」「うぅ、…ひっく」





いつもブスって言っても動じないコイツが泣くから、余計心配になる。そんなに大事なもの無くしたの?俺にブスって言われるのが嫌で泣いたの?…どっちにしろ、俺はお前のことほっとけない。






「言わねーとキスすんぞ」

「え?」

「キ ス」

「ちょ、やぁっ」

「5、4、3、2、」

「言う!言うからぁ!!!」






そんなに嫌がる程俺とキスするのが嫌なのかよ。逆にむかつくこのブス!顔真っ赤にしやがって!この野郎。畜生。ちょっと可愛いとか思った俺なんなんだよ。むかつく。なんなんだよ。ほんとに。むかつく。






「筆箱なんだけど」

「筆箱?だったらいいじゃん。また買えよ」

「ルハン君が私の下駄箱に付箋入れてくれるでしょう?明日夕飯作ってとか。」

「ん」

「それ、全部筆箱の中に入ってて…大切にしてたから。」





そこまでオナマエが言ってどうしようもなくオナマエが愛おしくなって俺もなんでか知らないけどオナマエを抱きしめた。強く、キツく。オナマエが離してって言うけど離してやんない。俺の顔が赤くなってんの見られるぐらいなら抱きしめてた方がマシだ、この野郎。





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