「ジョンイン!」





「(…あ、話しかけてくれた)」





「ジョンインも帰るとこ?」





「うん、ヌナも?だったら一緒に帰ろ」





「帰る!帰る!帰る!帰る!(しっぽふりふり)」





「はぁ???ちょっと待って!カラオケは?!」





「あ、チャニョルごっめぇん☆さっきから行きたく無いって言ってたじゃーんバイバーイ」





「(俺も家の方向なのに…ジョンインのやつ…!)」





「また明日ねぇ!(ジョンインいいなぁ…)」









【 ある放課後のお話し 】







「ジョンインと帰るのは久しぶりだね!」





「…そうかも。」






そうかも。なんて言ったけど本当にそうだ。ヌナの隣でこうして一緒に帰るのは久しぶり。昇降口でたまたまヌナを見つけて話しかけようかなぁなんて近づいてみた。





そうしたらヌナの近くにはいつめんのビーグル3匹がいて…きっと一緒に帰れないと思った…だからこそヌナからジョンインと名前を呼ばれてとても嬉しかった。





嬉しいことに一緒に帰ろう、なんてお誘いまで。(大丈夫、ヌナは俺と帰りたかったわけじゃなくてカラオケを断る理由に俺を使っただけ。大丈夫。俺、ちゃんとわかってる。)









「ごめんね、私自転車壊しちゃって…一緒に歩いてもらっちゃって…すまないねぇ…(おばあちゃん風)」





「上手く乗れないから壊したんでしょ。自転車乗らない方がいいよ」





「だってさー、この歳になって自転車上手く乗れないってやばくない?すげくない?まじでやーばばばいやいやい」





「ヌナ、運動神経無いよね(このネタまだ使ってるんだ…)」





「俗に言う、うんち だからね…わかってるよ…」







ヌナは昔から運動神経が悪い。俺は幼稚園生の頃自転車に乗る練習を始めた。ヌナは俺が練習をするずっと前から自転車に乗る練習を始めたのに俺よりも乗れるようになったのはずっと遅かった。





泣きながら「ジョンイン君には負けたくない」って言っていたヌナが懐かしい。今も上手く乗れないみたいだけど…(笑)そのせいか知らないけどよく自転車から落ちて転んでるしパンクさせるし。(パンクしてた方がヌナが自転車に乗らないから安心できるんだけど…!!)





歩くのが遅いヌナに歩幅を合わせて歩く。この遅さが運動神経の悪さを表してる(本当に遅い。)だけどヌナのペースに合わせるとその分ヌナといれるからむしろヌナが歩くのすごく遅くて良かったと思ってる。単純。







「修学旅行でね、日本行くんだぁ。」




「(…いいなぁ)へぇ、俺も来年行くし」





「たしかに。お土産、何がいい?」





「お土産…なんでもいいよ」





「えなんでもいいが一番困るジョンインのなんでもいいはなんでもよくないじゃん!」





「物!物なら!なんでもいい!」





「物ねお菓子にしようとしてた」








ヌナにお土産なんでもいいって言うと本当に適当な物を買ってくるんだ。だからなんでもよくないんだよ、だけど本当にヌナの気持ちがはいってるならお土産はなんでもいいんだ。ただ、京都奈良に行ったときに鹿せんべいだけ買ってきたらそれは俺も不機嫌になるよ!(約2年前の話。懐かしい。)





そっか、もう少しでヌナ、また修学旅行いっちゃうのか。2年前に中学校の修学旅行に行ったばかりなのに。月日が経つのすごく早いかもしれない。





…1年俺が遅く生まれてきたことをこういう時にすごく後悔する。いつもいつもヌナが行くとこ、すること、羨ましく思って、ヌナが忘れた頃に羨ましかったことが俺の番になるんだ。





ヌナと学校行事を共有することができない。たしかに文化祭も体育祭も共有してるけど俺が言いたいのは違う。学年が違うと本当に遠くに感じるんだ。





卒業式なんて小学校も中学校もヌナがいなくなるときは大泣きしたのに自分のときはしなかった。そんなヌナはジュンミョニヒョンをそんな目で見ててさ(決して、恋愛とかそういう目じゃない。そう信じてる。)ヌナはジュンミョニヒョンの卒業式でも泣いてたし、修学旅行に連れて行けと泣いたし…。










「私がいなくてさみしくなるね、少しだけだけど」





「…そうだね。ストレス発散する相手がいないとつまんないかも。」





「げ、ルハン先輩と同じこと言わないでよ!」





「ルハン…」










俺の前で他の男の話すんなよ。なんてさ、言えたら良いのにさ俺やっぱチキンマニアだから言えないんだよ。(チキンマニアほぼ関係無し)よりによってライバルのレベルが高すぎるんだよなぁ。ルハン先輩にもどうせ買ってくるんだろう。あーあ、せっかくヌナといるのにヌナのせいでちょっと落ち込む。





キムジョンイン拗ねモードスイッチオン。だってすぐにルハンルハン言うし、俺と一緒にいるんだから俺の話して欲しいし、なのにルハンルハン言うしベッキョンベッキョンも言うしチャニョルチャニョルも言うしあぁ、最近はジョンデジョンデも。むかつく。むかつく。むかつく。











「ジョンイン?なんか御機嫌斜め?」





「(誰のせいだと思ってるんだよ)」





「もー、ヌナなんかした?」





「…してないっ」






「もー!じゃあなんでいつも歩幅合わせて歩いてくれるのに早歩きになるの!」











ジョンインって機嫌悪いと早歩きになるよね!むかつく!だなんて俺にど突いてくるヌナ。ど突いてきたと思ったら俺の腕に抱きついてくるんだもん。あー、ちょうどヌナのシャンプーの匂い。いい匂い…くそ、俺変態かよ。セフンじゃないのに。くそ。











「ヌナ、離して」





「やーだ。ジョンインだって嫌なわけじゃないでしょ???」





「…」





「今日はジョンインの家でご飯食べるー」




「ちょうど今日は親いないから飯ない…」





「えー、じゃあこのままご飯食べに行こ!制服デート!制服デート!制服デート!」





「(跳ねるとない胸当たるんだよ!馬鹿ヌナ!)わ、わかった!わかった!!」












やめてやめてとヌナを俺から離そうとするけどヌナの力強過ぎて動かない。むしろ嬉しいけど。うん、ヌナ、恥ずかしいな、俺。ここ道端だし。ほら、小さい子こっち見てバカップルだーって指差してるよ、ヌナ見えてないの?聞こえてないの?











「やったー!行きたいとこあるの!方向転換!駅に向かいまーす!」





「駅まで遠いじゃん、一回帰って二人乗りで行こ。」





「ジョンインの後ろ乗せくれるの?!」





「あ、うん。…ヌナ漕げないし」





「それは否めない。」













じゃあまた、方向転換だね、なんて俺の腕をぐいっと引っ張って走り出すヌナに、もう腕を離すのは諦めてヌナに合わせて俺も走り出す。(まあ、運動神経悪いからスピードは早く無いんだけど。)




いつもは何でもない帰り道もヌナとだったら言葉に言い表せないぐらい素敵な、特別な、帰り道になる。おまけに今日はこの後もヌナを独り占め。…なんて日だ!











ある放課後のお話し
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