たまに、ふと思い出す僕の僕だけのお話し。







【 救世主はギャラクシー 】






何で女の子の格好をするようになったのか。よく人に聞かれる。心を心から許した人にしか教えてあげない僕が女の子の格好をするようになった理由。






今の学校に留学したのだって学校の制度が好きな服装をしていいからっていうのが第一の理由だし。今やっと男の子格好ができるようになったけど、、、そうなるまではすごく、すごく長かった。僕のお母さんはすごく優しい人だった。優しくて、料理も上手で。人当たりも良くて完璧だと思ってた。ただ一つ、ただ一つだけ僕に女の子の格好をさせていたこと以外は。




通っていた幼稚園も、男の子として入園していたのに洋服は女の子の洋服で。スカートはいたり、髪の毛結んだり。一人で居ることは幼稚園頃から苦じゃなかったけど、周りの園児はみんな気持ち悪がって近づいてこなかった。さすがに友達がいないことに悲しくなってお母さんに聞いてみた “なんで、ぼくは おんなのこ の おようふく を きてるの?” “みんなに きもちわるい って いわれるの” お母さんに言ってみた。




…それが、聞いちゃいけないことだったって幼ながらもわかった。お母さんの初めて見た怒った顔。僕はずっと忘れないと思う。泣きながらお母さんが“イーシン、ごめんね。許して。女の子が欲しかったの。私、女の子が欲しかったの。” って。今思えばそんなに女の子が欲しかったの?って思うぐらいだけど当時の僕はもっと、純粋だったから分かったって言った。女の子の格好をしていれば、お母さんが喜ぶんだって。






もう一人、子供を産むことは中国ではできないから。女の子が欲しいなら僕を堕ろしてもう一度子供を授かるのを待てばよかったのに産んでくれたから。お母さんの女の子が欲しかったのというわがままにとことん付き合おうと思って女の子の格好をした。






小学生になってやっぱり周りに友達がいなくて。そこで僕は友達が欲しくて男の子格好をしようと思った。お母さんに男の子の服を買ってくれって頼んだ。…そう言う度にお母さんは精神が不安定になって僕を殴った。僕を女の子として育ててたつもりだったみたい。





僕は諦めて女の子の格好をして、女の子みたいに振舞った。殴られたくない、トラウマになっちゃったみたいで。そのまま中学生になったんだ。中学生になった時点でおじいちゃん、おばあちゃんに僕のお母さんがおかしいってばれたみたい。…気づくの遅いって思ったけどおじいちゃん、おばあちゃんすごく天然だから…しょうがないかなって。





中学生になっても友達ができないと思ってた。正直ね。無理だと思った。お母さんが僕が女の子の格好ができるSM学園中国キャンパスに入学させた。高いお金を払えば入れる学園だから。大学生まで一貫だから大学生まで女の子の格好ができるからって。僕もおかしくなってたみたい。女の子の格好をすることに抵抗がなくなったし、好きで女性ものの洋服は着るようになったから。スカートは別としてパンツとかトップスとかね。





まぁ、例え女の子格好をしても大丈夫な中学でも噂って広がるから僕は中学生になっても友達ができなかった。むしろいじめられてる訳じゃないけど、空気みたいな存在で。そんな時、出会ったんだよ。ねぇ、クリス。僕を救ってくれたのは君だったね。空気みたいな存在だと言われて噂になってた僕に気がついて隣のクラスだったクリスが僕と友達になってくれるって突然現れたんだ。“イーシンがイーシンらしくいれる場所に行こう” “韓国語勉強すると見せかけて外国行こうぜ” “女装は俺のスタイル”…いろんな言葉全部僕の心に突き刺さった。





イケメンだけど変なやつで有名だったクリスと僕はすぐに仲良くなった。お母さんにも勉強するからと伝えたら簡単に留学に賛成してくれた。(簡単すぎてびっくりした)クリスが僕に男の子の洋服を初めて着させてくれた。嬉しくて涙が出た。韓国にきて、男の子と女の子の服を順番に着て。





留学にきてしばらくしてクリスが僕に提案してくれたんだ。“恋をしたらどうだろう。好きな子の為に男の格好をするようになるんじゃないか”と。…その通りだった。クリスの友達のジュンミョンの家に居候している君を紹介してもらってから、僕は彼女を好きになった。初めて恋をした。男の子格好をして君と会いたい、恋がしたいと思うようになったんだ。





時間はかかったけど、僕は前に進んでると思う。次、本当の家に帰った時お母さんにちゃんと言おう。僕は男の子で、もう、女の子の格好はたまにしかしてあげないって。たまにしてあげるから許してって。きっと、優しい僕のお母さんならわかってくれる。…きっとね?







救世主はギャラクシー
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