おじさんのきもち【連載】

バニーちゃんと…

付き合い初めて早数ヶ月。

まだほとんど付き合ってる風なことはしていない…



まぁ、野郎2人でデートっ!なんて…バニーちゃんは気が退けるだろうし。


第一、本当に俺なんかで良いのか?

―ピロンピロン、ピロンピロン

『はいイっ!』

声は甲高く跳ねるように裏返った。

何故ならば今まさに想っていた人からの電話であったから。

『虎徹さん、今日もお疲れ様でした。』

いつものように自らよりもはるかに落ち着いた趣のある涼しげな声が耳に熱く響いた。

『おっ、おうっ!今日の犯人は厄介なNEXTで手こずったなぁ〜』

最近、余裕がなくなってるのは完全にコイツのせいだ。  
『そうですね。でも虎徹さんのフォローのおかげで助かりました。』

こんな非の打ち所のない好青年に好かれている自分が至極憎たらしい。

『そ、そんなこと全然ねぇって。バニーちゃんがあそこで捕まえてなきゃ無理だったって。』

『そんなに謙遜しないでください。』

『ははは。そうか?』

こんな風に誰かと他愛もない話をして、こんなに気持ちが弾むなんて知らなかった…

お前を好きになるまで。


『今日は今度虎徹さんとしたいことがあって電話したんですけど、今大丈夫ですか?』

『したいこと?ああ。別大丈夫だけど、それってなんなんだ?』

『単刀直入に言います。今度の休みに僕とデートしてください、虎徹さん!』

『で、デートおおお?!』
それは、俺が一番耳にしたかった言葉に等しかった。

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