『…よく似合っていますよ。』

『冗談止してくれよぉ。…なんかおっさんの若作りと思われたのか、来るまでも舐めるようにジロっジロっ見られて…恥ずかしかったぜ…』

『本当に…本当によく似合ってます!』

バニーは俺の両肩を強く握って声を張り上げた。

いつもは冷たいはずのバニーの手が、体温が、とてもあたたかく感ぜられた。

『あ、ありがとな。』

肩を握られながら、じっと、綺麗なエメラルド色の瞳が美しく瞬いていた。

バニーの手の熱が心臓に伝わり、益々とくんとくんと高鳴る。

この音、聞こえてるか?

俺はこんなにお前のことが好きだ。

愛してる、バーナビー…


―自らの素直な気持ちもこの胸の高鳴りと共に溢れだしてしまえばいいのに―


素直に慣れない大人の自分を心の奥底で叱咤した。


『あっ!すみません!…その、強く握ってしまって。』

バニーはいつもの気色を取り戻し、手を離した。

『本当にすみません。…痛くないですか?』

我にかえり心配そうに俺を再び見つめた。

『大丈夫だよ…そんな心配すんなよな!俺を誰だと思ってるんだよ、バニーちゃん!』

バニーはまた俺を見つめ直して、ふふっと微笑んだ。
『誰って。虎徹さんでしょう?』

そう言って、バニーは腹をおさえながら、ずいぶん長く笑った。

バニーは普段あまり笑わない質なので、珍しいと思い、尋ねた。

『なんだよ?何がおかしいんだ、おじさんの何がっ?』

『…あなたは僕の大好きな虎徹さんでしょう?』


その一言にまたもや俺の精神は甘く打ち砕かれた。



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