ホストクラブ短編・京介世莉 | ナノ



その繰り返し


最初は、淡白そうって思ってた。
背は高いけどゴツい訳じゃないし、肌の色も白い方だし、何となく弱そうに見えたからだ。

でも京介とエッチをする回数が増える度に、その考えは間違いだった事に気付く。




「世莉さん…」

「あっ、あぁ、ふぁ…んっ」

激しく腰を打ちつけられて四肢が戦慄く。
遠慮なんか知らないその動きに感じてしまうオレは、すっかり受け側に回ってしまっている。
納得いかない所もあるが、コイツを押さえ付けてでも抱ける力も体の大きさもないのが辛い所だ。

でもまあ、オレも男だしエッチ好きだし、京介とするのは気持ち良いからイイか!…と、思っていられるのはまだ余裕がある証拠。

コイツは一度のセックスが割と長い。
日によってお互い疲れてたりするからマチマチではあるんだけど、決して短くはない。

普通ならこの一回で十分だと思うだろう?

けど違うんだなぁ…。




「ちょ!?どこ触ってんだよ!」

まだ若干怠い体で風呂に入ったはいいが、さっきエッチしたばかりだと言うのに京介はまたオレの体をあちこち触ってくる。
流石に二回連続はキツイ…もう出して眠いし、さっさと風呂入って寝たい。

そう思うオレの事なんか気にしてないんだろうな…だって、顔に「もう我慢できない」って書いてるし。

「世莉さん可愛い…」

「んっぅ、あぁ…」

オレもオレで、コイツのペースに流されて受け入れちゃうから凄いんだよ。
その辺分かってくれるか?

まあ、体は怠いけど、求められて嫌な気はしないしイイか!…と、余裕はなかったけど思う事にした。




「寝る…オレは寝るぞ…」

「はい、おやすみなさい」

ベッドに横になると、京介が背後から抱き付いてきた。
これはいつもの事だから別にいいんだけど、若干暑苦しいと思っている事は内緒だ。

目を瞑り、やっと眠れると息を吐く。
近所の学校から昼休みを知らせるチャイムが鳴って、もうそんな時間かと悲鳴が出そうになった。

けど、今日は休みだ。思いっきり寝てやるぜ!と、思ったのもつかの間…。

「おい…」

「…はい」

「既に二回したよな?」

「しましたね…はい、しました」

「じゃあ、何で勃ってんだよ!お前の下半身はどうなってんだ!?」

「だって、世莉さんに触れて我慢できる訳ないじゃないですか!!」

――コイツは…底なしなのか?
エンドレスでエッチできるのか?

オレは京介以外の男と経験した事がないから分からないけど、みんなこんなもんなのか?

(んな訳ねぇ…ありえねぇ…)

「世莉さん…」

始まった、この甘えた誘惑ボイス。
この声で「世莉さん」と言う時は「エッチしよう」と言ってるのと同じ意味だ。

しかしオレは寝るんだ、寝ると京介にも言い切った。

「――っ…!?」

意地でも寝てやろうとするオレに、京介は背後から服の中に手を入れてきて胸の先を指で捏ねてくる。

「――んぁっ」

思わず恥ずかしい声が喉から出て、慌てて唇を噛みしめた。

(誘いにのってたまるかよ!)

「オレは、っ…寝るんだ!」

「いいですよ、おやすみなさい…」

「っん…じゃあ、その手、どうにかしろ…はぁ…ぁ」

京介の吐息が耳に掛かる度に、どんどん理性は隅に追いやられていく。
小さく震えてしまう体を誤魔化すようにきつく目を瞑っていると、突然体を仰向けにされた。

「うわぁ!?」

「ごめんなさい!」

興奮した様子でシャツを捲られ、胸の突起を舐められる。
スエットの上から自身を触られて、一気に体が熱くなった。

「あっ、は…やだ…もう無理だって…」

「でも世莉さんだって、ほら…」

下着の中でどんどん元気になってく自分のモノに「バカヤロー!」と叫んでやりたい。
京介は硬くなった自身を直に触り、大きな手で包み込むように握ってきた。

「んっ、んっ…んぅ…」

「世莉さんが、そういう可愛い反応するから我慢できなくなるんです…」

「あっ…んっ、はぁ…ひ…人のせいに…すんじゃねぇぇー!!」

こうして寝る前に三回。仕事をした後に三回だ。
まあ、ここまで付き合えるオレも元気なんだけど…。

でも、オレ達はもう十代じゃないんだぞ?
それともコレが普通なのか?

色々思う事はあるが、恐らく目が覚めて一回、夜まで居たらもう一回はあると思うのは気のせいじゃないだろう…。




「帰る…」

案の定、五回…プラス一回は予想外だった…。

しかし、コイツの性欲はどうなってるんだ?
一度専門医に診てもらった方がいいと思うのはオレだけじゃないはずだ…。

(くっそー、折角の休みなのに体を痛めつけるだけだった!)

昨日よりも疲れた体を庇いながら京介を見ると、すっきりした顔をしていて激しくムカついた。

(この野郎…!)

「お前さぁ、去勢た方がいいんじゃねぇ?」

「え?」

「じゃあな…」

きょとんとする京介を残し、部屋を出たオレは思う。

(回数多過ぎだから!)

この年上の男は体がでかく体力もあって、底なしの性欲の持ち主であるという事は理解した。

一度でも「淡白そう」と思った自分に後悔し、次は上手くかわそうと思うオレは多分また京介のペースに流されるだろう。

きっと、その繰り返しだ。






京介って回数多そうだよね、と言われて書いてみました。
ワタシも世莉に対して底なしな設定で良いと思う。
それにしても多過ぎ(笑)



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