今はこれが限界





「先輩?」


触れた唇が離れると、黄瀬は俯く笠松を覗き込んだ。


「顔、真っ赤っすよ?」


「…初めてなんだから仕方ねェだろ。」


ファーストキスの相手が自分だということに、黄瀬は心の中でにんまりと笑う。まぁ女子の苦手な笠松の事だから当然そうだろうと確信はしていたが。


「おい、何ニヤけてんだテメーは。」


どうやら顔にまで出てしまっていたようだ。また距離を縮める黄瀬に、笠松は更に頬を赤らめる。


「良いっスよ、センパイのペースで。」


ゆっくりと、少しずつ。