※若干暴力表現有り
身体が痛い。
殴られ、蹴られ、罵倒され。
生理的に出てしまう涙が目尻に浮かぶ。
「…っ、」
「はっ。んな顔で睨まれたって全然怖くねーんだけど?」
「ぐっ…ぁ、」
腹に重たい拳が入った。きっと身体中痣だらけなのだろう。もう何日目か分からない。部活後の青峰による暴行に、若松は必至で耐えた。
決して若松は喧嘩が弱いわけではない。体格だって青峰と変わらない、どちらかと言えば身長は自分の方がわずかに高いし、パワーだって負けてないだろう。
しかしこうも一方的なのは何故なのか。それは若松が一度も青峰に抵抗し、手をあげたことがないからだ。こんな男でも桐皇のエースは間違いなくコイツで、怪我などさせられない。という思いが何より先に浮かんでしまう。
意識的だかどうだかは分からないが、ユニフォーム姿でも隠れる場所を狙ってやるのは、やはり発覚を避けているのか。まぁバレたとしてもきっと何らかの形で大事にはならずに収められるのだろうけど。
「アンタさぁ、少しはやり返せよ。」
「っ、」
できるわけないだろ、と若松は悪態をつくがそれを発する気力はもうない。
「…今日はもういい。」
毎回この台詞で部活後の暴行は締めくくられ、青峰は何の感情も込められていないような目をして若松を見下してくる。しかし、若松には何故か毎度その表情がひどく寂しく、苦しんでいるように見えて仕方がなかった。
青峰の去っていく音を聞きながら、若松は四肢をだらんと投げ出し部室の床に寝転んだ。
今日はどのくらい痣が増えただろう。どのくらい傷が増えただろう。着替える時に異常な程気を遣わなきゃいけない。ボロボロの身体で翌朝部活に臨まなければいけない。
それでもきっと、俺はこの行為を受け入れ続けてしまうのだろう。
あとがき
暴力ネタ、一度書いてみたかったんです。でもやっぱり悲しくなっちゃって、あんまり激しいのは書けませんでした。やっぱり切ない話は救済したくなる…うーん。青峰SIDEとか考えてます。若松サンは隠してるつもりだけど、多分これ今吉&諏佐は知ってるはず。だって彼らは桐皇レギュラーの父母ですもの(笑)
ここまで読んでいただきありがとうございました!