feeling





目を覚ますと、視界が真っ黒に覆われていた。ぼんやりしながら視線を変える。端の方にちらりと見える白い肌と頭の上から聞こえてくる寝息で、青峰の脳内はようやく動き出した。



身体を起こし、隣で眠る若松を見つめながら記憶は昨日へとさかのぼる。



あの電話で、まさかすぐに駆けつけてくれるとは思わなかった。まぁ良でいいか、と思っていたのだが、気付けば無意識のうちに若松へと繋がる発信ボタンを押してしまっていたのだ。



ましてや一緒に風呂や布団に入ることになるとは。きっかけを作ったのが自分自身である事に驚いたが、それを受け入れた若松には更に驚いた。



「・・・。」



青峰はそっと自分の髪の毛へと手をのばす。いつもよりサラサラとしている気がするその髪を、洗い丁寧に乾かしてくれた手、眠る直前まで背中に感じていた手の平は、いつもボールを追いかけているものとはどこか違ったような気がした。



投げ出された若松の腕にそっと触れてみると、なんだか胸がほんわりと温かくなった。その湧き上がるよく分からない感情に青峰は妙な気分になり、若松から目を背ける。



「何やってんだよ俺は…」



ちらり、と振り返り若松を視界に入れると同時に自分の心拍数が上がるのが分かった。



どくん、どくん。



静まらない心音を紛らわすように、青峰は若松の上へと飛び乗った。