※オリキャラが登場します
「若松主将!」
「おう。」
注文を終え、トレイを持った桃井が小走りで二人の席へとやってきた。
「こんにちは〜、若松の友達の田島です。桃井さんだよね?……そちらは、弟くん?」
不思議そうな顔をした田島が指をさす先には、桃井の陰からあまりよろしくない目つきでこちらを睨んでいる少年が。
「あ、従弟なんです!今ちょうど遊びに来てて…」
軽く背中を押して挨拶を促す桃井だったが、青峰は黙ったまま動かない。そんな青峰の様子に若松は罪悪感を覚えた。きっと自分に対して怒っているのだろう。
「ムカつく。」
「…大ちゃん?」
騒がしい店内にかかわらず、その一言は若松の耳にはっきりと届いた。
「もういい、帰る!」
青峰は素早く自分のテリヤキバーガーと飲み物を抱えると、翻し走って店を飛び出した。
「え、…あ、おい!」
立ち上がり叫んだ若松の声はきっと聞こえていただろう、しかし青峰は足を止める事をしなかった。
「ちょ、あの子追いかけた方がよくないか?」
「あたしが…!」
焦る桃井を若松は片手で制した。
「俺が行く。怒らせたのは俺だ。悪い、田島!また学校で!」
「お、おう!こっちこそ、今日は助かった!」
田島は現状にまだ困惑していたようだったが、笑って若松を見送った。
「青峰君をよろしくお願いします。」
「あぁ。」
二人に軽く頭を下げ、若松は走って青峰の後を追った。果たして追いつくだろうか。人通りの多い通りですっかり姿の見えない少年に、若松は小さく舌打ちをした。
「ところでさ、さっきの従弟なんで怒っちゃったの?」
「えっと、今日、若松主将と遊びたかったみたいで…」
「知り合いなんだ!…そっかー俺悪いことしちゃったなぁ。」
ぼんやりと先ほどの少年を思い浮かべれば、それと同時に田島の頭にはあの青峰大輝の姿が一緒に現れた。
「…なんでだろ?」