…いま、あなたのうしろにいるの


うわぁぁああ!!!


「いやぁああぁぁあ!!!?」

「っ!!?」

「!!」

「ひっ!」


「夏の定番といったら肝試しでしょ」なんて言うカノが持ってきたDVDが元凶で、今最悪な事態になっている。

てゆーか怖いDVD鑑賞は肝試しじゃない。


まぁそんな事はいいんだ。そんな事より私は怖い話の類は得意じゃない。

うん嫌いなんだ。

しかもめっちゃ怖いところでマリーがすぐ側で悲鳴を上げやがった。

めっちゃびびった。


「マリーったら怖がりすぎー。お腹よじれちゃうよ」


元凶のカノが笑いながらマリーに言う。

そのままちぎれればいいのに。


「だ、だってぇ…」


対するマリーは涙目でカノを見る。

うん、マリー可愛い。


「だいたいこの"メリーさん"って巷じゃ子供向けだよ?こんなので怖がるのは子供くらいだって」

「わ、私子供じゃないもん!」

「えー?ホントかなぁ」


…マジか。これって子供向けなの。嘘じゃないみたいだし…うわ、私カッコ悪い。


「う〜…」

「カノ、マリーを虐めないで欲しいっス」

「うわ、出た」

「…カノ」

「あーはいはい。ゴメンって…セトはマリーに甘いなぁ」


…怖かった事がカノにバレたら確実に弄られる。

一週間くらい弄られる。絶対に。


「…くだらないな。オレはもう寝る」

「あれ、キドもう寝るの?」


おぉぅ…救世主だぁ!私もキドに便乗して寝よう!


「あ、じゃ私も寝るわ」

「えーフミも?もうちょっと怖いのあるよ?」

「黙れカノ死ね」

「あれ?なにそれ酷い」

「…私も、寝る」

「マリー大丈夫っスか?」

「大丈、夫!」


なんだよあそこ。オーラがピンクなんだけど。

カノもけっこう引いてるし。でもそんなとこ微塵にも見せないんだろうな。


「じゃ、おやすみー」

「やれやれ、今日はもう解散かー」

「おやすみ…」

「おやすみっス」


キド?いつの間にか部屋に戻ったみたい。




「…あ、」


目が覚めちゃった。


うわーもう最悪だぁ…。


"…いま、あなたのうしろにいるの"


「…!!」


いや、なんで今思い出すの。いるわけないって。私の後ろはベッドだし…。


「………」


ね む れ な い 。

あーぁもうやだなぁ…。


…眠れない時は、

携帯でも弄ろうかな

何か飲もうかな

とりあえず部屋から出るか

誰かの部屋に行こうかな

とにかく寝るしかないな

メール相手を見つけようかな

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