「くそっ!あんなの卑怯だ!」
「はいはい。勝ちは勝ち、負けは負け。」
「あれはバトルじゃねぇ!」
「いいから早く案内してよ」
第四話
隠居生活
「ここがサンギ牧場だ」
「へぇ!意外と広いわね」
おーメリープがたくさんいるー。
「ヒロリ!」
「さん付けろ」
「あ、はい…ヒロリさん!オレはもっと強くなる。そしてまたアンタに挑んでやる!」
「ふーん。で?」
「勝者の余裕ってか…ぜってー次は負かす!」
ヒュウ君は負け犬の遠吠えを吐いて走り去っていきましたとさ。
次は負かすだって。意気込んじゃって面白い。
さぁて、さっさと依頼終わらせますか。
「リオル捕獲完了。依頼達成ね」
ボールの種類、ゴージャスボールにしちゃったけど…まぁいいか。
これなら依頼人にすぐ懐いてくれるだろうし。
…しかし時間がかかってしまった気がする。
本当は日帰りのつもりだったんだけど…今日はポケセンに止まってくか。
「…おぬし」
…あらま、誰かと思えば…。
「御隠居されてからの生活はどうですか?元チャンピオンのアデクさん」
「…やはりヒロリだったか」
急に後ろから話し掛けてきたのは、渋面のアデクさんだった。
「懐かしいですね。二年前の戦い以来でしょうか?」
「うむ…しかし、何の用があってここに?」
「ご安心ください。ただの仕事で来てるだけですから」
「…仕事、とは」
「この辺に生息しているリオルの捕獲です。娘の誕生日プレゼントとしてリオルが欲しいとか…ヒウンシティの悩めるパパさんからですね」
「そうか…すまないな、疑うような事きいて」
「いーえ。そんな事は気にしませんので」
…二年の時が流れて、この人もなんだか少し老けたみたい。
ちょっとシワが増えたっぽい。
「…ヒロリ、この後は?」
「ポケモンセンターに泊まる予定です。ちょっと時間かかっちゃって…」
「ふむ、ここで会ったのも何かの縁。今日はわしの家に泊まるといい」
「あら、本当ですか?それならお言葉に甘えて…」
今日の寝床ゲット。夕飯代も浮くし、助かるわぁ。
この縁の巡り会わせは
((何かしらの意味を持つ…のかな))
戻る