「ヒロリ!!!ちょっとちょっとちょっと!!!はや、はや…!!」


「えー?なにー?聞こえなーい!」


「はや、はや…速過ぎだよぉぉおお!!!!!」


「んー?もっと速く?OK!任せな!スワンナ!スピードアップよ!」


「違ぁぁああううぅ!!いいいぃぃやぁぁぁあああ!!!!」









第二話

始まりの始まり









「はーいお疲れ様ー」


「うぅ…もうヒロリに頼みたくないぃ…」


「私だって驚いたんだから。アララギ博士に呼び出されたと思ったら、いきなりベルを乗せてって…いくら仕事でも人を配達するなんて初めてよ」


「…話が噛み合ってないよぉ」


まぁお金はきっちり貰ってあるから平気なんだけどねぇ。


私の名前はヒロリ。

イッシュのしがない配達員。


今回の仕事はベルをヒオウギまで配達する事。

あ、ベルっていうのはさっきからギャーギャー煩い女の子の事。

黄色い髪に緑の大きい帽子が目印の元気っ子。


「もー…これからアララギ博士のお友達の息子さんと娘さんに会うっていうのに…今からこんなんじゃもたないよ…」


「そういえばヒオウギってあの子がジムリーダーやるんだっけ?大丈夫なのかしら」


「…話聞いて!」


「はいはい。ごめんなさい」


「…はぁ」


まぁこう見えて先の騒乱ではプラズマ団と戦った経験があり、それなりの実力者ではあるけど。

今ではアララギ博士の助手をやってるし、ちゃんとやりたい事が出来て良かったねぇ。


アララギ博士っていうのはイッシュ地方の有名なポケモン博士である女の人。

今回の依頼人でもあるの。

昔はバックパッカーだったとか噂あるけど…どうなのかしらね。


「それで?大事な荷物は落としてない?」


「え?も、もちろん!落とすわけないよ!」


「ふーん、ならいいけど。アンタのおっちょこちょいはあんまり治ってないみたいだしねぇ」


「ちゃんと持ってるもん!ほら!」


ベルは自分の荷物から大きいカプセルらしき物を取り出す。

なるほど、その中に例の三匹が入ってるのね。


「うん、ちゃんとあったね。えらいえらい」


「うわっ…えへへ」


少し乱暴に帽子の上から頭を撫でれば、驚きながらも嬉しそうに笑う。

…うん、まだまだ子供ね。


変わらない事が
((なんだか嬉しい))


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