「賑やかだと思ったらポケモン勝負だったんですねー。いやー若いねー」
「「「…だれ?」」」
「誰って…ここのオーナーですよー。こっちはボクの奥さん」
「ふふ。元気なバトルだったわねー」
第七話
現在と過去
「ハーデリアーどこだー」
「いや、呼んで出たらオーナーさんが見付けてるって」
キョウヘイ君って天然なのね。どこか抜けてそうな感じだとは思ったけど。
「…スワンナ、空から捜してもらえる?」
スワンナをボールから出して問えば、一鳴きして飛び上がった。
スワンナの声に反応し、キョウヘイ君がこちらを向く。
「…スワンナ…」
「おい、聞いてんのかよ」
「あぁ、うん。あっち探すか?」
「いやそっちは探しただろ!」
そうとうマイペースね、キョウヘイ君は。
「…しかしなんでこうなったのかしら」
「いや、それはもう…たまたま?」
「つべこべ言わずにさっさとしようぜ。早く見付けないと…!オレはこっち探すからな!」
ヒュウ君はそう言って草村を掻き分けていってしまった。
…彼、過去に何かあったのかしらね。
いま私達は先程会った牧場のオーナーのポケモンを探している。
そのポケモンはハーデリアで、いつの間にかいなくなっていたらしい。
…これが二年前だったら大事になるとこだ。まぁ…二年前だろうが今だろうが、私には関係ない事なのだけど。
「えぇと…オレは…」
「キョウヘイ君は私と向こうへ行きましょ?ね?」
「え?はい」
キョウヘイ君を一人にしたら道に迷ってそうで…まぁそこまで広い牧場ではないからバラバラにならなくても見付かるでしょ。
「…あの」
「なぁに?」
「オレとヒロリさん…どこかで会いませんでしたっけ?」
「…あら、キョウヘイ君とは初めて会ったと思うけど…どうして?」
「いえ、その…ヒロリさんのスワンナを見た事あるような気がして…」
「ふぅん…スワンナなんて誰でも持ってるじゃない。勘違いじゃないかしら」
「そう、ですね。きっとそうですよね」
実際のところ、キョウヘイ君と会ったなんて記憶はない…多分。
人の記憶力なんてあてにならないけど。とくに私のは。
色々やらかしたからなぁ…もう色々ありすぎてよく覚えてないよ…。
「…ヒロリさん?」
「…あぁ、ごめんなさい。さて…そろそろ」
空を見上げれば、スワンナが私達を見下ろしていた。
記憶の果て
(スワンナが見付けたみたいよ)
(あ、そうみたいですね)
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